ホーム>岡山畜産便り > 岡山畜産便り1999年8月号 > 大佐町堆肥センターが稼働,牛ふん堆肥を製造販売 |
1.はじめに
大佐町の農業は水稲が主体で,野菜,果樹,畜産等を組み合わせた農業経営が行われている。畜産では,肉用牛繁殖経営が40戸(152頭)と,肥育及び一貫経営が3戸(108頭)あり,酪農経営は6戸(156頭)と阿新管内11戸のうち半分が大佐町に集中している。
2.堆肥センターの設置経緯と概要
大佐町では,平成8年に町条例で大佐町堆肥有効利用協議会を設置し,町内の堆肥の有効利用や環境保全型農業の推進などの調査研究が行われた。その答申の一つに,町内畜産農家の家畜ふん尿から良質堆肥を,耕種農家へ安定供給するために,公設民営の堆肥センター設置の必要性が盛り込まれた。その後,検討が重ねられ,大佐町堆肥センターの設置計画を決定した。
堆肥センターの施設整備は,町が事業主体となり,平成9年度山村振興等農林漁業特別対策事業(地域資源循環活用施設整備事業)により,総事業費1億9,300万円で行った。施設は平成10年9月に完成し,10月から堆肥の試験製造を開始,平成11年4月に製品が出来上がり,販売している。
施設の概要は表−1のとおりである。
敷地面積 |
3,889u |
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施設 | 堆肥棟 |
1,652u |
管理棟 |
144u |
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設備 | 堆肥運搬車(2t車) |
1台 |
タイヤショベル |
1台 |
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堆肥散布車 |
1台 |
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堆肥袋詰機(半自動式) |
1組 |
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付帯設備 |
1式 |
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堆肥発酵施設 | 連続発酵堆肥化処理装置 |
3.堆肥センターの運営と堆肥製造方法
堆肥センターの運営は,大佐町堆肥組合が行っている。この組合は堆肥センター運営の主旨に賛同した農家で結成された組合で,現在酪農家5戸,肉用牛農家2戸で組織されている。各牛舎から出た家畜ふん尿は,それぞれ個人で水分調整して搬入し,当番の組合員が発酵槽への投入,養生槽での切り返しなどを行っている。袋詰めは機械が半自動で人手がいるため,日を決めて数人で作業している。
乳用牛と肉用牛のふん尿を混合したものを原料とし,水分調整材としてウッドプロセス大佐(大佐町森林組合が運営する木材加工施設)から出るオガクズと戻し堆肥を利用している。堆肥製造のフローシートは図−1のとおりである。約120日間かけて製造し,製品として出荷している。
4.牛ふん堆肥販売と今後の計画
できあがった堆肥は「源流おおさ牛ふん堆肥」という名前で大佐町内で販売している。販売の形態はバラと袋で,阿新農協(大佐町内の支所)が取り扱い店として注文を受けており,袋売りは町内の農機具店でも販売している。販売価格は表−2,堆肥の成分分析値は表−3のとおりである。
袋詰め(40g) | 配達 | 390円/袋 |
店頭渡し | 340円/袋 | |
バラ積み 1t | 配達 | 4,000円/t |
センター渡し | 3,500円/t |
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1.5% | 2.6% | 2.9% | 3.4% | 1.0% | 7.7% |
町や堆肥組合では良質堆肥の生産に努め,堆肥利用のPRを行い,地域での有機物循環・環境保全型農業の推進モデルとなることを目標に努力している。