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〔地域情報〕

がんばっています!(美作地区より)

勝英地方振興局農林水産事業部畜産係

 勝央町・奈義町(2町)は,県東北部那岐山の裾野に広がる県下有数の酪農地帯です。事業計画に取り組んだ平成2年における2町の飼養戸数・頭数及び粗生産額は,131戸,3,129頭で,農業粗生産額の32%を占めていました。
 2町の酪農家(26戸)は,平成3年度から平成10年度にかけ,美作地区(地区)として公社営畜産基地建設事業(畜産基盤再編総合整備事業)に取り組み,草地・飼料畑等の造成改良:(29.3ゥ),畜舎整備:経営移転に伴う増頭(16棟),ふん尿処理施設(22基:天日乾燥ハウスを含む),堆肥生産組合(3組合),機械利用組合(5組合)など総合的生産基盤の整備を図りました。その結果,飼料の自給率の向上(低コスト生産),飼養管理の効率化及びふん尿処理施設等の整備による耕種農家等との連携が可能になるとともに,畜産環境の改善も大きく前進しました。
 この地区の平成10年の飼養状況及び生乳の生産状況を簡単に紹介します。

1.飼養状況(図1)
 酪農経営戸数・頭数は,乳価の低迷,後継者不足等により,平成2年と比較して,平成10年には,76戸,2,892頭となり,8年間で55戸865頭(△27.6%)の減少となりました。しかし,事業参加農家における628頭の増頭の結果,237頭(△7.6%)の減少にとどまっています。

2.生乳生産の状況(図2)
 2町の総乳量・経産牛1頭当たりの乳量は,平成2年には,19,765.2t,6,316.8s/頭でありましたが,平成10年には,生産施設等の整備,牛群検定の普及により経産牛頭数の減少にもかかわらず,22,567.9t,7,803.6s/頭と約14%伸びています。
 事業参加農家の平成10年(9,507.6t:8,355s/頭)は,平成2年に比べ総乳量で3倍,1頭当たりの乳量では22%と大きく伸展しており,とりわけ1頭当たりの乳量では,県の牛群検定平均8,142s/頭(表1)を上回る優秀な成績となっています。事業参加農家の意欲的な取り組みの成果が表れていると思います。
 今後,酪農経営については,従事者の高齢化や担い手の確保,畜産施設の問題,さらに経営の生命線とも言うべき乳価の問題等解決すべく多くの課題を抱えていますが,地域農業の基幹作目として,一層の生産振興と経営安定を図るべく関係機関・団体などと手を携えながら支援していかなければならないと考えています。

表1 乳用牛飼養状況及び生乳生産量(県全体)
年次
戸数
頭数
生産量(kg)
特定農家平均
平成 2年

1,650

30,800

6,236

7,262

平成 6年

1,200

26,800

6,834

7,868

平成 9年

950

24,200

7,291

8,152

平成10年

860

23,000

7,266

8,142