〔共済連便り〕

家畜診療日誌

農業共済連 岡山西部家畜診療所 酒井 敬二

 高梁管内の各診療所が統合され,岡山西部家畜診療所と名称変更し今年で,4年目を迎えました。診療所も外壁の塗装,看板も一新し気持ちも新たにベテランの域に達した6名のスタッフにより日々診療に従事しています。
 昨今,畜産も経営的に厳しい状況下にあり,畜産農家も減少傾向に歯止めのない状態であり,当管内においても同様である。私はこの4月に15年ぶりに赴任し,診療所管内の一部の地区を担当していますが,飼育戸数の割合は和牛農家が約90%,酪農家が約10%で,特に和牛農家は高齢化が目立ち後継者は皆無という状況になっています。和牛農家が大半を占める私の担当地区では,必然的に診療も和牛が主体となりますが,病気のなかでも,子牛の下痢(主に白痢)が多く,大半が生後2ヶ月迄に発症しています。白痢予防のためにワクチン接種を行うと接種した母牛の子牛は発症しても重篤には陥らずに済む傾向があります。更にコクシジウム症(血液の混入した下痢,非出血性の下痢)を併発する子牛もあり,混合感染も見られます。コクシジウム症が発症(血便)した場合は,スルファモノメトキシンの経口投与を行っていますが,予防的処置はほとんど実施されていないのが現状です。コクシジウムの汚染は今では全農家に拡がっていると言われます。糞便検査をすると原虫,線虫類も発見され,大腸菌など下痢の原因が重なると栄養不良に陥り,農家によっては慢性下痢になる子牛もいます。
 農家により環境は様々であり,7月,8月の暑い時期に狭い牛舎の温度上昇と高湿度によってストレスが重なり下痢(白痢)の治療は,なかなか効果が出ず日数を要する事があります。対策としては,牛舎環境の改善・消毒殺菌剤(オーシスト,ウィルス,細菌に効果)の牛舎散布および牛舎出入口に踏込み槽の設置など今後取組む事にしています。また繁殖障害も分娩後60日経過しても発情不明との内容が多く見うけられます。15年前までは1,2頭飼育が多かったが,今では和牛農家も数頭飼育しており,大半の農家がトマト等の野菜作りをしており7〜9月の間は収穫に追われ,また稲の収穫も重なると1頭1頭に目が届かない状態も見うけられます。
 涼しくなる10月頃より種付が多くなりますが,厳寒期の12〜2月には発情が不明瞭になり,3〜5月になり暖かくなって来るとまた種付が多くなるため,分娩時期も6〜7月と12〜2月に比較的集中している様に思えます。これらから農家も忙しい時期になり発情の見逃しもあるのではと推察するとともに牛にも発情に適した環境(特に春と秋の季節)があると思えます。また診療時に,『この牛は前回治療を受けた事がありますか?』と聞くと大半が前回も治療を受けて種付したとの返答があり,いかに薬に依存する繁殖管理が根強くなっているか改めて実感しています。いかに牛を健康に維持し,下痢,繁殖障害を減らしていくか,今後の課題として取組んで行きたいと思います。
 以上4月より担当して来た地区で思った事を記してみました。