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〔普及現場からの報告〕

牛ふん尿堆肥を利用して25年,軟弱野菜栽培の「サンファームハラ」農場

倉敷農業改良普及センター

1.はじめに
  「サンファームハラ゛は原誠一さん(S.22生まれ)と息子さん2人に常時パート8人で軟弱野菜を栽培し,量販店へ契約出荷しています。

2.農場概要
  農場は2カ所に分かれ,総社市へは平成8年に新農場を開設。
  倉敷市安江:ハウス33a,堆肥舎230u
  総社市奏:ハウス50a,堆肥舎240u
  栽培品目:ほうれん草,小松菜,ねぎ,春菊,チンゲンサイ等8品目
  栽培体系:年間7〜8作の周年栽培
  販売額:4,000万円/年

3.堆肥利用の経緯
  昭和40年代に野菜の立ち枯病,土壌病害に悩まされ,農薬中心の防除でも対応しきれず土づくりの必要性を痛感していた。
  この頃,同じ後継者グループで市街地で酪農を営んでいた貝原牧場は環境問題で困っていた。
  そこで,野菜づくりで同じ問題を持つ9人の農家が集まり,補助事業の支援を受け
 昭和51年に堆肥利用組合「幸農会」を結成し,牛ふん尿堆肥の利用が始まった。
  25年たった現在でも当時と同じ仲間で続いています。

4.堆肥利用の効果
 (1) ハウス内で25年もの長い期間,年7〜8作の軟弱野菜が連作できている。
 (2) 堆肥投入以前は土壌消毒を年1回は必要であったのが,3年に1回程度でそれも雑草処理のためにクノヒューム処理をしているだけ。
 (3) 野菜の生育が速いので,農薬防除の回数が減っている。特に春秋は無防除に近い。以上が,25年間堆肥を使って感じていることだそうです。

5.堆肥施用の状況
 (1) 量にして7〜10t/10aを年間3回程度に分け施用している。
 (2) 牛ふん尿おがくず混合物を農園所有の堆肥舎へ持ち帰り,同容量のモミガラを混合して1年近く堆積し,発酵を兼ね除塩している。
 (3) 堆肥の多用,連用へ慣行施肥し続けると,土壌中の塩基バランスを乱すので窒素の単肥施用している。
   窒素は緩効性のCDU窒素を長年施用している。
  以上が,幸農会のメンバーが25年している堆肥施用の方法でした。