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岡山県を去るに当って 御挨拶

前畜産課長 押野芳夫

 2年半と言えば長い様でもあり短い様でもある。客観的に考えれば,人生の働き盛りの2年半は馬鹿にはならない年月であるが,私の場合は何も彼も零で如何に自分が無能であるかを自嘲するのみである。仕事も有形無形両面とも,ああして見たい,こうしても見たいと思うのみで時を過してしまった様である。
 敗戦時の畜産は全く悲惨なもので,餌も人も種畜も無く何時になったら戦前の線まで復帰するか五里霧中であったが,進駐軍の理解ある施策と,農民の努力が相俟って今日の畜産をとり戻した。
 御蔭で店頭には各種畜産物が陳列され,国民食衣の面に活躍して居るが,未だ交換配分の点において完全とはいい得ない。
 過剰人口は経済不安の特徴として交換配分の面に多く集中し,為に生産,消費の両面を浸蝕して居るかに見える。今後生産,消費の合理化と共に改善されなければならない処である。
 過剰人口といえば自分は常に過剰人口で無く必要人口でありたいと念願して居る。勿論,人権を尊重する文化社会においてである。然し,世の中には,過剰機関,過剰ポスト,過剰人口の如何に多きことか! 自分は,必要機関の必要ポストにはおったが,遺憾ながら必要人口であったかどうか? 甚だ疑わしい,ただ県民各位の御叱正,御援助で大過なく今日を迎えたのである。この点衷心より感謝に堪えない。且つ今後必要人口ならんと努力するも何分の駄馬とて倍旧の愛の鞭を御願いし,御挨拶と致します。