ホーム岡山畜産便り岡山畜産便り昭和24年12月

岡山種畜場へ転勤して 御挨拶

岡山種畜場長 藤井英一郎

 本誌上を借りまして県民の皆様に御挨拶を申し上げたいと存じます。昭和22年4月に津山畜産農場が新設されましてこれが初代場長として赴任致しましたが,時恰も終戦後のインフレ昴進時代でありまして全く完成の見とうしもつかず却って計画取止めのやむなきに至るのではないかとさえいう様な,洵にこんとんたる有様であったのでありますが,関係者の異常な努力と,県民各位の絶大な御声援と御協力によりまして,漸く現在迄に県道より場へ通ずる直結幹線道路の開通を見,諸建物も大方出来上り,明年はいよいよ花々しく開場式の段取りとなるに至りまして,地方民待望の施設が,茲に漸く建立される見通しがはっきり致しました秋はからずも去る10月20日岡山種畜場へ転任を命ぜられまして,私と致しましては洵に意外の感に堪えない処であります。御承知の通り岡山種畜場は現在の場所が極めて狭隘で,本県種畜場としては洵に貧弱な感がありましたので,本年度当初から移転計画を樹てられ,市外三軒屋の元陸軍兵器廠後へ移転せられる事となったものでありますが,その計画に於て規模構想に於て,誠に雄大絢爛たるものがあるのでありまして,到底私共の任に堪えるものではないのでありますが,然し既に当路者の懸命の努力と前蔵知名場長の手腕によって猶且つ県会議員諸賢の絶大な御協賛や,一般援護会などの協力,声援がありまして既に8分方の建設が進んで居る次第でありますので,私はその上塗り,仕上げなどをすればよい様な破目になって居る次第でありますから,菲才を顧みず懸命に之が完成にあたりたいと考えて居りますから,旧に倍しまして一層の御鞭撻を御願い致したいと考えます。もちろん,業務につきましても極めて浅識不肖なものではありますが,今後県民各位の御要望に応えて,新時代に適応した種畜場として,皆様から愛され,利用される施設となる様に運営して行きたいと考えますから,何卒一層御眷顧の程御願い致します。
 目下移転実施中でありまして,業務多忙に追われ洵に匁々の間要を得ませんが,誌上をかりまして従来の御眷顧を感謝し,更に今後の御指導御鞭撻を御願いする次第であります。