ホーム岡山畜産便り岡山畜産便り昭和25年1月

年頭偶感

岡山県畜産課長 惣津 律士

 畜産に対する一般の認識が相当増大して来た事は喜ばしいが,これが国民生活,農業経営の中に浸透した程度はまだまだの感が深く更に農民がどっしりと腰も落ちつけて畜産をやって行く上についての体制が十分でない点が多く見受けられる。
 家畜の改良増殖に対する直接の手段としての種畜場の拡充,種牡畜の設置は花々しい姿を示しているが,その裏付をなす優良自給飼料資源の増産確保については兎角等閑視され勝ちであり更に防疫,家畜共済の点に及ぶと一般畜産農民の関心が薄いのは甚だ遺憾である。この縁の下の力持ち的な事が十分に理解され実施されなければ本当の意味での畜産の進展は期し得られないものと思われる。
 畜産の進展如何が今後の日本農業の運命をも左右するとまで思われる今日に於ては,各農民は自給飼料,防疫,共済の問題をお互に協力して真剣に考えて,これに対する確固たる基礎を樹立してこそ,明日の畜産が来るべき時代の農業恐慌に対しても十分に貢献し得るものである事と信じて止まない。
 25年の新春を迎え新しい希望のもと各位の御健闘を祈る。