ホーム岡山畜産便り岡山畜産便り昭和25年1月

本年はこの覚悟で!!

 今年は一般の産業経済部門の難局が予想せられる。畜産も試練山積の年であることは明らかだ。大いに褌を締めてガッチリと取り組んで行こう。先ず……

一. 畜産の根を張れ!!

 浮いた畜産,目先の畜産を捨てよう。自家の経営の形,労力の点,飼料の面をよく考えて自家の農業経営に結びつけていこう。
 そして只現金収入の面だけを追わないで自家の食料面へ,肥料の利用面へ又畜力の利用へ衣料への補給に一段と工夫を払っていこう。今後は殊に畜産が営農より離れて独立した存在をすることは無理な状勢になったことをよく考えてガッチリと根を張ってどんな風波 にも堪えるようにやろう。

二.畜産の組織と団結を図れ!!

 組織と団結を持たない産業は畜産に限らず恐慌に対して弱い。殊に畜産部門では畜産物の販売等でつながりをもちお互いに緊密な団結を図ることが必要だ。今問題となっている飼料圃のことでも又販売網をもって中間利潤を出来る丈さける為にも是非組織力と団結を強化すべきだ。

三.畜産技術と家畜の能力の向上に努めよ!!

 全般からみて我々の家畜の取扱い方は極めて幼稚な域を出ていない。その為に家畜の折角の能力も利用も損をしていることが多い。技術の向上は畜産の経済価値を向上させる。又家畜の品種,血統の良いものは能力の良いことは明らかだ。逆に悪いものは全てこの点で不利であるから良い家畜を選び良い技術で有利な畜産を生んでいこう。

四.家畜の防疫に注意せよ!!

 大事な最も大きな財産でもある家畜を病気でなくすことはどう考えても残念である。殊に伝染病で失うことは単に個人の損害に止らず国家的の損失にもなる。よく周囲の家畜衛生の状況を注意して官民一致した防疫の心掛けに徹していこう。