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黒毛和種登録規程改正公聴会


 11月27日広島県比婆郡東條町で黒毛和種登録規程公聴会が開かれた。司会者側は羽部登録協会長,委員長上坂京大助教授,委員石原中国支場技官,森原広島県技師。出席者は岡山県,広島県,山口県の技術員並に一般篤志家約200名出席により終始真剣に意見が交され登録規程改正の是非論に付いて公聴された。


 大正8年以来実施して来た和牛登録のやり方は雑駁な一群から選択淘汰を一代一代重ねて種類として均一性のある固定種を造成して来たが事実上雑駁なるものから表現型の揃ったものを造成するには現在の程度で充分であるが更に蕃殖成績(仔出し)によって因子型を確実なものとし其の優良なる形質,能力を改善普及して行く登録組織に突入して行くために下記登録規程案が委員により研究せられたのである。


全国和牛登録協会黒毛和種登録規程要項案

一.本会は黒毛和種の形質及び能力の改善を図るために本規程によりその登録を行う。
二.登録は次の3つの条件をそなえたものについて行われる。
 (一)犢登記を受け犢登記証明書を有するもの。
 (二)其の父母の蕃殖成総良好と認められるもの。
 (三)生後18ヶ月以上に於て別に定めた審登標準により75点以上を得点したもの。
三.前条の登録を受けたものについて高等登録を行う。
  高等登録は次の4つの条件をそなえなければならぬ。
 (一)登録された時の審査得点数77点以上で乳徴,肢蹄,歩様の各得点率7割7分以上のもの。
 (二)その父母共に77点以上の登録牛であるもの。
 (三)蕃殖成績良好で牝にありてはその仔に77点以上のもの。2頭以上牡にありてはその仔に77点以上のもの10頭以上を有するもの。
 (四)高等登録審査の際も77点以上得点したもの。
四.以上の登録を行う為に補助牛登録と犢登記とを行う。
五.補助牛登録は次の3つの条件をそなえたものについて行われる。
 (一)犢登記を受け犢登記証明書を有するもの。
 (二)生後18ヶ月以上に於て別に定めた審査標準により70点以上得点したもの。
 (三)その父母の蕃殖成績良好と認められるもの。
六.犢登記は登録牛の間,補助牛の間若くは之等相互の間に生産せられた犢について行い検査の上犢登記証明書を交付する。

     附  則

一.従来の登録規程による本登録牛又は予備登録牛は新規程による登録牛とみなす。
二.上により登録牛とみなされたものにつき再審査の上之を高等登録牛とすることが出来る。
三.従来の登録規程による登録捕助牛は其のまま本規程による補助牛とみなす。
四.本規程施行の日より1年以内を限り次の2つの条件をそなえたものを新たに補助牛とすることが出来る。
 (一)その父母及び祖父母の明かなもの。
 (二)生後18ヶ月以上において別に定めた審査標準により70点以上得点したもの。
五.会員外よりの登録申込に対しては地方審査委員会及び中央審査委員会に於ける調査確認を経て之を登録することが出来る。
六.本規程は昭和年月日より施行される。


 要するに従来の本登録及予備登録を「登録牛」とし更に其の上に「高等登録」の制度があり高等登録こそ最終の目標である「補助登録」は70点以上で登録牛になれなかったもの即ち上から落ちて来たものを受け止める制度である。又蕃殖成績(仔出し)及乳徴肢蹄歩様等重視せられある点が改正の重点である。

(渡邊記)