ホーム岡山畜産便り岡山畜産便り昭和25年2月

畜産の祭典
中国連合畜産共進会は岡山畜産の試金石である!

 畜産界の大事業の1つとして挙げられるものの中に畜産共進会があるが今秋鳥取県で開催される中国連合畜産共進会は,その総経費1,000余万円と言われるから相当大規模であることが予想せられる。これに出品される家畜は1県和牛13,馬3,乳牛4,肉牛3,緬羊3,山羊3,豚3であるが最近畜産販売面に重大なる影響があると言われるこの催しはおそらく各県共総力を挙げて火花を散らすことは予想以上であろう。
 本県に於いても関係者の協力を得,これの主軸となる各団体は全力を傾注しつつあるが以下その概況を記し諸賢の参考に資する。
 1月16日関係者協議の上対策準備委員会を設立委員長に県経済部長を推薦し以下7部会に編成し役員及委員は60余名が委嘱された。
 一.和牛部会は1月31日部会を開き本共進会出品候補牛に対して具体的対策を決定し2月22日より県下を2ケ班に分けて第1次の候補牛選抜検査を実施することになり各方面に通知した選抜予定頭数は出品牛の2倍程度の予定である。
二.馬は1月下旬既に第1次候補馬の選抜検査を終了し優秀馬6頭に白羽の矢が立てられたが前回の6県共進会に於て1等の首位を得ただけに今回も選抜検査は他の家畜に先じて決行されるものであろう。
 三.乳牛は今春岡山にて開催される県乳牛共進会に於て候補牛の選抜を行う予定であるがそのために1月16日岡山種畜場に於て共進会準備打合会を開催し県段階及び中国連合へと万全の対策に余念がない。候補牛は12−13頭の予定である。
 四.肉牛に於ては久しく共進会から遠ざかっていたが最近畜産の状況が最終の利用目標である生産物に向って居り牛もその肉量肉質の点が重要視されるに至っている為本県南部の地育地帯は肉牛の声価を求める為全力を傾倒しているが既に1月16日対策の部会を終り素牛を選抜中であるから近く軌道に乗ってくることは間違いない。
 五.中家畜(緬羊豚)は委員会終了後各方面に協議中であったが此頃大体見通がついたので2月14日部会を招集して第1次の候補選抜検査に乗出すこととなろう。然し中家畜に於ては?長年先進地から良種,良質のものを導入して改良されているので見通しは明るい。大体進行状況は下の通りであるがこれが軌道に乗り候補家畜が決定すれば育成用として千数百俵の飼料が必要とされるので関係方面に入手方を交渉しているがこれも見通しがある模様である。
 此の共進会を巡って腕自慢の育成家は家畜愛のもとに涙ぐましい努力をされることと思われるがどうか本県畜産界の為関係者の皆様に心からの御奮闘と御協力を御願する次第であります。

2月8日記 宇野仁記