ホーム岡山畜産便り岡山畜産便り昭和25年2月

家畜の人工授精師の問題

ii生

 戦後の混乱状態中急に非常な減少を来した各種畜産も国策に順応して緊急増殖を計たことと各畜産家も価格の騰貴と共に懸命の努力を払いその結果急激の増加を見たが最近特に全国各地種牡畜の節減と改良の速進受胎の増率並に伝染病の予防等の見地から家畜の人工授精が急速の発達を来している。之に伴い素人で人工授精を実施し牝畜蕃殖障害疾病のあるものに授精し或いは異常精液を反って胎率を低下し又は伝染病を蔓延伝播せしめたり又各畜の名を借りて「インチキ」精液を販売受精する等色々の欠陥を防止する目的を以って近々法律を以って人工授師及び人工授精所なるものを制定せられる事になっているのである。
 人工授精所は一定の施設を必要とし精液を採取し之を処理注入することは授精所でなければ出来ないことになる。又人工授精師は獣医師又は国或いは県の行う講習会を終了し一定の試験に合格したものでなければ精液の採取処理注入をすることは出来ないことになり授精所を開設するもの授精師となるものは一定の料金を納めて知事の免許を受けなければならないことになる模様である。従って授精所毎に授精師が勤務することになるのであるから授精師となる希望のものは少なくとも蕃殖に関する生理,解剖,人工授精に関す事項については予め勉強が必要と思われる。
 次に種畜に関しては従来の種畜法が改正せられて種畜改良増殖法が公布せられる見込であるが其の内容は一部改正と人工授精に関する事項を包含せられるようであることを紹介して筆を置くが仔細については畜産課種畜係又は衛生係で直接面談されるよう願います。