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養鶏課税の適正化について陳情す

編集係

 昭和25年2月7日,社団法人日本養鶏協会中国四国支部主催で中国地区を岡山,広島両県が代表して広島国税局直税部長に面接の上養鶏課税の適正化について陳情した。
 交渉概要は次の通りである。

(1) 陳情書を手交し各項説明の後,特に育成費及び課税対象羽数等について,従来の当局の見解が当を得てない点を指摘し改善方を申入れたところ大体了解を得た。
(2) 産卵個数については当局より過小評価であると指摘されたが,130個と言う数量は全国平均の数字であると共に,2年−3年鶏を含んだ平均数であり且つ現在の飼料事情或は飼育羽数の増加により相当の制約を受けるものであることを説明したところ大体了解を得た。
(3) 陳情書中の100羽当り(育成鶏を含む)飼養の年間純収入15,905円では経営として成立しないのではないか,と指摘されたが戦後の養鶏形態は殆んど一般農事に織込れた副業的存在でありその目的は採卵に終始するものでなく鶏糞利用による土地の生産性の向上にあることを説明し了解を得た。
(4) 要望事項及び算出基礎については,後日充分検討し可及的要望に沿いたい旨回答があったので地元,広島県にその後の結果を聴取各県に通知するよう委任した。
(5) 今後所得額決定に際しては事前に民主的に業界代表者等の意見交換等の機会を設けられ課税の適正且つ確実を期せられるよう要望した処意見の一致を見た。
(6) 昭和23年度と24年度所得額が同額である事は卵価の反落飼料の高騰等の客観状勢から望ましくなくその理由を質した処,当局としては踏襲的感が多聞にうかがわれ,今後課税の適正を望むならば業界の結束の下に波状的積極的な課税運動の必要を認めた。

 なお税務当局の態度は非常に好意的であり今後算出基礎の明確な裏付に基いた陳情と養鶏業者の適確な収支帳簿の記帳が望ましい。

養鶏課税に関する陳情書

"省略"

養鶏課税の適正化についての陳情事項

(一) 養鶏事業の課税対象である飼養羽数は大家畜と異り,日々その羽数に増減があるので任意の時期の羽数を基礎として年間の所得を算出することは極めて困難である。
(二) しかし所得額を適正且つ簡易に算出することも原始産業である養鶏の実情から必要なことである。
(三) 上の方法として別表(一)により所得額を算出し課税賦課の基礎として採択せられたい。

上要望事項に対する説明概要は別紙の通りであります。

昭和25年2月7日
中国地区5県養鶏団体代表者
岡山県養鶏協会長 島村 軍次
広島県養鶏協会長 山本 正生
社団法人日本養鶏協会中国四国支部
支部長 小川 一郎
広島国税局長殿

別表1 1羽当所得額

1月の成雌羽数を対象とした場合の1羽当り年間所得額 159円
2月           〃 167〃
3月           〃 177〃
4月           〃 177〃
5月           〃 187〃
6月           〃 212〃
7月           〃 245〃
8月           〃 265〃
9月           〃 289〃
10月           〃 289〃
11月           〃 151〃
12月           〃 159〃

〔備考〕※別紙は,総て昭和24年1月1において成鶏雌100羽,雄10羽を同年12月31日において同数に維持する種鶏場,経営の実態を引例す。
※成雌とは生後8カ月以上のものを言う。

別表2 飼養羽数月別増減並産卵実態表

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
成鶏羽 100 95 90 90 85 75 65 60 55 55 50 50 870
雛羽 100 80 75 70 65 65 60 55 50 620
産卵鶏羽 100 95 90 90 85 75 65 60 55 55 105 100 975
成鶏羽 10 10 10 10 10 50
雛羽 20 16 15 14 13 13 12 11 10 124
成鶏羽 10 10 10 10 10 11 71
成鶏計羽 110 105 100 100 95 75 65 60 55 55 11 160 1,046
1羽当産卵数 11 13 17 20 17 14 8 5 4 5 8 9 131
全産卵数 1,100 1,235 1,530 1,800 1,445 1,050 520 300 220 275 840 900 11,215
食卵 7,810コ×0.8=6,248÷4=1,562 350 520 300 220 275 840 900 4,967

備考1.種卵採取月日は1〜6中旬とし種卵の適格率は80%とし20%は食卵として処分する。

   2.種卵供用数  87コ×0.7=70コ  87−70=17コ及び其の他の月分44コ計61コ

別表3 育成飼料内訳

種  類 配合率 所要量 単 価 金   額
糟糠類 78% 配給227貫 自由454〃 25円 80〃 5,675円     36,320〃
魚粉 7〃 61貫 300〃 18,300〃
粒餌 15〃 131〃 200〃 26,200〃
86,495〃
1貫当 99円07銭

別表4 成鶏用飼料費内訳

種  類 配合率 所要量 単 価 金   額
糟糠類 55% 154貫 80円 11,320円
魚粉 20〃 56〃 300〃 16,800〃
粒餌 25〃 70〃 200〃 14,000〃
42,120〃

収支算出表

(収入の部)

1.鶏卵販売代金 159,572円
  種     卵 6,248ケ 16円 99,968円 (1羽年70コ1コ16円)
  食     卵 4,967ケ 12円 59,604円 (1羽年61コ1コ12円平均)い)
2.鶏糞販売代金 19,440円 19,440円  成鶏年間1羽4貫年間平均87羽 348貫育成 期間1羽1貫平均84羽分84貫
3.廃用鶏処分代 432×455,750円
  成     鶏 25羽 190円 4,750円  生体100匁50円平均1羽380匁25羽分
  中     雛 5羽 200円 1,000円  廃用中雛並に種鶏分合格若鶏
184,762円

(支出の部)

1.初生雛購入代金 6,500円  
   100羽分 1羽65円 6,500円
2.育  成  費 43,120円
  飼  料  費 280貫 150円43銭 42,120円 (7月間1羽平均4貫羽分,内訳別表3)
  光  熱  費 4俵 250円 1,000円 (40日間給温,木炭1俵250円4俵分)
3.成鶏鶏料費 86,983円
878貫 99円07銭 86,983円 (1羽1日30匁1月900匁延975羽分,内訳別表4)
4.種  雄  費 15,354円
  育成飼料費 56貫 150円43銭 8,424円 (1羽7月分4貫14羽分,別表3に同じ)
  成鶏 〃  70貫 99円07銭 6,930円 (1月1羽1貫7月分10羽分,内訳別表4の通り)
5.鶏舎償却費 2,700円 (1坪3,000円100羽収容10坪10年更新償却費3,000円)
(3,000×10=3,000円)10年
6.鶏舎修繕費 3,000円 金網 板 釘 硝子
7.器具消耗費 1,000円 飲水器 バケツ 餌箱
8.薬  品  費 3,000円 駆虫薬 消毒薬 予防薬
9.公 租 公 課 2,000円  組 合 費 1羽5円 100羽 500円 種鶏検査費 1羽5円 100羽 500円 自転車,リヤカー,その他  1,000円
10.運 搬 諸 係 5,200円 運搬用自転車リヤカー償却費 (30,000−3,000)÷5(年)=5,400円  修理費 5,000円             その2分の1を養鶏用に利用するとして( 5,400+5,000)÷2=5,200円 
168,857円
差引純益 15,905円