ホーム岡山畜産便り岡山畜産便り昭和25年2月

かね

◎水温む春遠からじと言うのに,寄るとさわると芽の出ない話許り。殊更ら今迄波に乗っていた向に風当りが大きいと聞く。
「錦花一朝の夢」と言うわけでもないが浮き上っていたのは沈む底もあると言うわけだ,今更ブレーキも利くまい。底まで行けば又浮ぶ瀬もあると言うものだ。

◎農村恐慌・中小企業の危機と世は挙げて危機時代。一時は猫もしやくしも尾びれをつけた提灯持ちやたいこたたきがはんらんしたが一度歩が悪くなれば自力更生論となり企業合理化論とケツを割ってくる。之正に泥縄式通俗論とでも言おうか。

◎或る講演会の席上・農林省のさる御役人が演台に立つや聴衆より農村恐慌打開策の結論を言えと問われた。御当人この時少しも騒がず「一言にして言えばそれは政府や県の説く逆をやることだ!!」と言ったと言う。満場やんやの拍手喝采となり面目を施したとか?真偽適否の程はさておき些か味がある。

◎田舎のバス停留所の壁に広告があった。曰く
OKとうふ
OECあぶらげ
○○商店
とある。誰しも暫らくは首をひねる文句だ。OKとは大けい。OECとはおいしいの表現とうなづけて微苦笑が浮ぶ。和洋折衷でデッチ上げた広告で一面奇抜とは言うものの之が農村文化へのもたらした所産とは情けない。