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飼料問題の反すう

未利用資源の活用について

畜産課 藏知技師

 飼料としての未利用資源は,大体戦時中より戦後を通じて活用されて来たが,然しそれは一部の眼先きの早い人々だけで,まだ一般にはそれほど活用されているとは思われない。飼料の統制が撤廃されると言うかけ声で一部にはもう戦時中に苦労したような濃厚飼料に対する心配をしている者もあるが,そんな人は別としても,農業経営の合理化の部面より考えれば飼料費を如何に安くするかは何時の時代にも適用出来る問題である。従って飼料として未利用の部面があるとすればそれ等を活用することは,何時の時代にも研究されてよいと思うのである。
 未利用資源と一概に言っても活用すべき対照動物により利用部面も異るし,利用出来る範囲や,量にも差が生じて来ることは勿論であるが,今回は一般的な問題のみを取り上げて書いてみることにする。

一.飼料として使えるかどうかの検討

 足元を見よとは禅宗坊主の教えであるらしいが,畜産人として何か材料を見つけたらこれは飼料にならないか知らんと考える位な気持ちは持ってほしい。日常生活を通じ,農場を通じ,自然の山野を通じ,河に海に沼に,吾々の目の行く処必ず飼料資源はその利用されるのを待っているのである。それを研究心をもってこれは飼料にならないか知らと思いつくことが第一歩であると考えられる。豊富な資源もそのままで放置されれば何時迄たっても飼料部面には出て来ないのである。採って見よ,然し考えよと言いたい。

二.如何にしたら食べさせられるか

 例えば南瓜の蔓の様なものがあるとする,これを牛が食うか知らんと考えるのが第一歩であるが,どうしたら食べるかを考えると一寸むつかしくなる。普通に考えたらあの蔓の毛の様なとげはそのままでは飼料にならないことは勿論である。然しあの毛をなくすれば牛でも山羊でも喰べてくれることになる,そうするとあの毛をとることを考えればよいことになる。1尺位に切って2−3日積み重ねておくと醗酵してあの毛はとれてしまう,それから牛にやれば喜んで食うのである。
 開花期の蚕豆は牛が喰べないものである。青刈の蚕豆が収量から見ても最もよい荳料植物であり蛋白質の給源であると話してもあれは牛が喰べませんと一言の下に否定する畜産人が多いのには驚かされる。これなんか2−3日乾燥して喰べさせれば喜んで喰べるのである。飼養管理の2つに調理を如何にするかと言う問題がある,人間の食料でも料理の如何によって味も変れば風味も変る。如何にしたら食べられるかを研究して頂きたい。

三.栄養価値はどうか

 如何に大量にあっても栄養価値のないものを利用したのでは効果がない,そこでこれの栄養価値はどれ位あるかを調べる必要がある。動物性のものや荳料植物であれば蛋白質が多く,芋類であれば澱粗質が多く,大根や蕪菁の類であれば水分が大部分であり,粕類であればその材料により判るし,糟糠類であって一寸研究すればそのものは判らなくともそれに近いものの栄養価の判ったものは出て来るのでそれから判断すれば凡その見当はつくものである。飼料として判らなくとも肥料成分が判っておればそれから換算すれば飼料価は出て来るし,それでも判らなければ研究室で分析して貰えば判ることである。捕えた材料は一応検討してみることにしたいものである。

四.濃厚飼料か粗飼料か

 栄養価を検討すればその結果よりしてそのものが濃厚飼料か粗飼料かは自ら決定されるわけである。それによって維持飼料に使うか生産飼料に使うか,も自ら区別される。量の如何によっては頭羽数も決定出来ることになるので充分に検討したいものである。

五.貯蔵出来るかどうか

 せっかくの資源も貯蔵出来る出来ないでその飼料価値は増大するか又は零に近いものになる。乾燥出来るもの,エンシレ−ヂに出来るもの,他のものと配合して貯蔵出来るもの等種々な検討が必要である。

 以上の5項目について検討して頂けば未利用の飼料資源も相当出て来るものと思われる。
 養蚕の副産物に,床芋及その後の活用,農業の副産物,臺所の廃物,樹実,樹葉類,河沼の雑草,河海のも類,イチゴ,タニシ,ザリガニ,コオロギ,その他農業生産の害虫類その他地方的にはブドウ酒の醸造かす,モグサかす,果実の種子や果皮等飼料となるものはないのである,個々の問題については他日項を改めて書くとして総体的な問題についてのみ示したのでこれによって一段の御検討が願いたいものである。