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県下和牛の分布状態

 最近の県下和牛の分布状態を統計資料(昭和24年12月末現在)によって調査し県下の畜産の参考とする目的で行った。
 調査方法としては県下を北部中部南部に大別し和牛分布の概況を表わした。北部としては阿哲,真庭,苫田,勝田の4郡をとり中部としては英田,久米,御津,上房,川上,赤磐の6郡をとり南部は和気,邑久,上道,児島,都窪,浅口,小田,後月,吉備の9郡をとった。便宜上各郡より任意に代表的な5ヶ村をとり和牛頭数農家戸数和牛飼育戸数をしらべ又5ヶ村の合計を以って郡及び北中南部の地方別の比較をした。又県下併用中の和牛種牡牛に対する成牝牛の数を各郡別に調べた。成牝牛は各郡の我総牝牛数の6割として計算した。

北部 表1のA

村名 和牛頭数A 農家戸数B 飼育戸数C A/B C/B
阿哲郡 新郷 450 336 240 1.3 0.71
矢神 700 480 380 1.4 0.54
千屋 800 382 275 2.1 0.72
草間 810 665 580 1.2 0.87
刑部 450 354 240 1.2 0.67
真庭郡 美川 510 566 440 1.1 0.77
美甘 880 524 410 1.7 0.78
八束 560 661 330 0.9 0.49
湯原 960 673 550 1.4 0.81
川東 390 481 300 0.8 0.62
苫田郡 中谷 200 264 190 0.8 0.72
奥津 370 192 150 1.9 0.78
上加茂 290 363 200 0.8 0.55
田邑 300 380 280 0.8 0.73
高野 460 632 430 0.7 0.68
勝田郡 新野 470 538 310 0.8 0.59
豊国 390 442 355 0.9 0.8
勝加茂 410 533 345 0.8 0.64
高取 240 297 215 0.8 0.71
北吉野 450 498 405 0.9 0.81

中部 表1のB

村  名 和牛頭数A 農家戸数B 飼育戸数C A/B C/B
英田郡 楢原 330 393 270 0.8 0.71
江見 550 684 450 0.8 0.65
巨勢 270 404 260 0.7 0.64
大野 290 335 255 0.9 0.76
東粟倉 480 359 345 1.3 0.96
久米郡 垪和 340 337 260 1 0.77
吉岡 300 480 250 0.6 0.52
倭文 500 578 425 0.8 0.73
打穴 350 318 270 1 0.74
西川 230 381 200 0.6 0.82
川上郡 手荘 470 678 410 0.7 0.6
平川 490 475 375 1 0.81
湯野 700 545 475 1.3 0.87
宇治 370 363 305 1 0.83
落合 460 535 420 0.8 0.78
上房郡 川面 360 372 285 0.9 0.76
有漢 470 508 410 0.9 0.8
豊野 420 466 395 0.9 0.84
中井 500 498 365 1 0.73
上水田 400 452 330 0.9 0.73
赤磐郡 仁堀 350 425 330 0.8 0.77
鳥取上 350 448 345 0.8 0.77
670 777 600 0.8 0.77
高月 290 427 285 0.6 0.66
佐伯 480 569 465 0.8 0.82
御津郡 牧石 240 552 235 0.4 0.42
横井 270 519 255 0.5 0.49
野谷 270 395 260 0.7 0.65
宇甘東 230 291 200 0.7 0.639
宇垣 240 429 330 0.8 0.76

南部 表1のC

村  名 和牛頭数A 農家戸数B 飼育戸数C A/B C/B
吉備郡 岡田 160 286 145 0.6 0.5
新本 350 461 330 0.7 0.71
大井 180 329 180 0.5 0.5
阿曾 370 535 355 0.7 0.54
大和 470 583 410 0.8 0.78
都窪郡 530 914 530 0.5 0.57
福田 230 434 225 0.5 0.53
菅生 360 490 345 0.7 0.7
清音 270 462 265 0.6 0.57
加茂 330 522 325 0.6 0.62
小田郡 大井 340 529 325 0.6 0.61
福島外 15 852 15 0.01 0.01
450 465 410 0.9 0.88
美川 440 480 385 0.9 0.8
中川 350 499 335 0.7 0.67
和気郡 熊山 180 250 180 0.7 0.72
本荘 300 420 295 0.7 0.7
  280 392 270 0.7 0.69
伊里 420 693 325 0.6 0.48
三国 200 237 185 0.8 0.78
後月郡 高屋 240 423 215 0.5 0.5
荏原 280 531 265 0.5 0.5
山野上 230 233 205 1 0.88
芳井 500 816 465 0.6 0.57
三原 150 205 120 0.7 0.58
浅口郡 富田 360 983 360 0.3 0.36
船穂 300 890 295 0.3 0.33
連島 310 933 300 0.3 0.3
里庄 220 1,111 220 0.2 0.2
大島 170 1,266 170 0.1 0.01
児島郡 粒江 270 403 225 0.6 0.63
山田 80 385 80 0.2 0.2
藤田 630 638 130 1.7 0.2
灘崎 360 874 360 0.4 0.41
荘内 400 1,066 375 0.4 0.35
邑久郡 210 426 205 0.5 0.48
太伯 220 408 220 0.5 0.54
裳  掛 220 323 195 0.7 0.6
国府 400 541 355 0.7 0.65
邑久 240 419 240 0.5 0.59
上道郡 財田 200 489 195 0.4 0.4
浮田 240 348 235 0.7 0.7
雄神 160 394 150 0.4 0.38
富山 120 241 115 0.5 0.47
光政 160 336 150 0.4 0.44

郡別分布の状態 表2

郡  名 和牛頭数A 農家戸数B 飼育戸数C A/B C/B
北部 阿哲郡 3,210 2,217 1,715 1.44 0.77
真庭郡 3,300 2,905 2,030 1.13 0.69
苫田郡 1,620 1,799 1,250 0.9 0.69
勝田郡 1,960 2,308 1,630 0.84 0.7
中部 英田郡 1,920 2,225 1,580 0.86 0.71
久米郡 1,720 2,089 1,405 0.82 0.67
川上郡 2,390 2,596 1,985 0.92 0.76
上房郡 2,150 2,296 1,785 0.93 0.77
赤磐郡 2,140 2,650 2,025 0.86 0.76
御津郡 1,350 2,189 1,802 0.61 0.58
南部 吉備郡 1,530 2,184 1,420 0.71 0.64
都窪郡 1,720 2,822 1,690 0.6 0.59
小田郡 1,595 2,825 1,465 0.95 0.51
和気郡 1,380 1,992 1,255 60.6 0.63
後月郡 1,400 2,208 1,270 0.63 0.57
浅口郡 1,360 5,233 1,345 0.26 0.25
児島郡 1,740 3,366 1,205 0.51 0.35
邑久郡 1,290 2,100 1,215 0.61 0.48
上道郡 880 1,808 845 0.48 0.46

地方別分布の状態 表3

  和牛頭数A 農家戸数B 飼育戸数C A/B C/B
北部 10,090 9,229 6,625 1.09 0.71
中部 11,670 14,045 10,060 0.83 0.71
南部 12,895 25,038 11,680 0.51 0.46

種牡牛とその蕃殖頭数 表4

郡市名 牡頭数 繁殖供用の牝牛数A 供用種牡牛数B 種牡牛1頭当り牝牛数A/B
岡山市 251 130 1 130
御津郡 3,085 1,851 9 205.6
赤磐 3,430 2,058 14 147
和気 1,432 859 10 85.9
邑久 3,189 2,393 6 399
上道 2,029 1,217 3 405.4
児島 2,686 1,611 8 201.4
都窪 3,295 1,977 8 247.1
浅口 2,358 1,414 6 235.8
小田 5,149 3,089 23 134.3
後月 2,503 1,501 14 107.2
吉備 4,375 2,625 21 125
上房 3,441 2,064 20 103.2
川上 4,664 2,798 20 139.9
阿哲 7,161 4,296 35 122.7
真庭 6,791 4,074 53 76.8
苫田 5,340 3,204 51 62.8
勝田 5,067 3,040 29 104.8
英田 3,050 1,830 23 79.8
久米 3,105 1,863 20 93.1
73,212 43,927 374 117.4

 以上の統計調査表に基いて若干の考察をしてみると大体の傾向として県下の和牛の分布の状況が浮び上る。
 即ち和牛の産地として古来より有名な阿哲,真庭,は矢張農家戸数より牛の頭数が多い。之に次ぐ郡としては上房,川上,苫田が挙げられる。
 最も少いのは浅口,上道,児島等となっている。地方別にみれば北部4郡が農家戸数より牛の数が多く,中部が之に次ぎ南部に至っては農家戸数の約半分となっている。(第2表及第3表)
 農家の中で飼育戸数をみると北部,中部は略々同じく71%で南部は46%となっている。産地地帯としての北部と中部の一部と地帯としての中部の大部と南部の特色が現れてみてよかろう。
 次に種牡牛の利用状況について第4表でみると南部の邑久,上道等に次ぎ児島,都窪,御津等が種牡牛に対する牝牛頭数が極端に多いことになっているが之は蕃殖併用の少ないことを明らかに推察出来る中,北部地帯は概ね100頭より120−30頭となっている。100頭に満たない生産郡たる真庭,苫田,英田,久米等は将来種牡牛の節減と利用範囲の増大に研究の余地があろうと思われる。
 殊に将来上の様な意味と蕃殖障碍の予防の立絹より人工授精の普及を図れば県下の併用種牡牛は300頭以内で充分生産に支障ない事が伺える。
 本調査は極く大ざっぱな為取材と調査方法が適当でないかも知れないが将来更に詳しく検討して行政施策の資料とし度いと考えている。