ホーム岡山畜産便り岡山畜産便り昭和25年3月

課税に対する問題

 シャウプ勧告に基く租税制度の根本的改正は,25年度予算案の審議を促進する都合もあって早急に国会に上程される模様であるが,その内畜産関係の税制改正については目下真剣に検討が継続されている模様でその経過の概要について伝えられる主なものは次のようなものであると見られている。

地方税

附加価値税

 附加価値,即ち総ね入金額から原料,副資材,動力等に支払った代金を控除し,更に土地建物その他の資本設備に対する購入費を控除した金額を課税標準とし課税客体を第一種第二種,第三種事業に分け,畜産業は第二種事業税率は3%とする向きが強い,但し農業及び農業附随する畜産業は課税除外となることになっている。
 この「農業に附随して行うもの」の限界については目下のところでは畜産収入が農業収入の4割以下のものに限られるむきにあり,又シャウプ勧告中除外条件となっている「主として自家労力を用いて行うもの」についてははっきりした見解が示されていない。
 尚農林省畜産局では現在これに対する方針として「農業経営組織体の一部門としての畜産業には課税しないよう折衝する即ち附加価値標準を収入面から考えることは不当であり耕作土地面積を基準とした考え方に改むるべきである」との意見を堅持していると言われる。

決定外独立税

 税種目は極力整理される模様であるがやむを得ない場合は地方財政委員会の許可を条件として認められることになる模様である。

固定資産税

 台帳に登録された土地家屋の外減価償却をなし得る資産を課税客体とするもので,家畜が所得税法によって,減価償却可能資産となれば家畜も課税されることになり,その税率は25年度は評価額の1.75%程度になるものと見られている。

国税

所得税

 畜産に関する所得税の取扱いについては種々問題点があり,関係者間で次のような検討が行われている模様である。
1 減価償却可能資産に家畜全部を含ましむべきか古かにつき牛,馬,緬羊,種豚は含ましめるが固定資産税との関係もあって緬羊,種豚は除くことも考えられている,尚減価償却の基準価格は取得原価主義をとらず,原則として当該家畜の生育終期の時価によるものとし成育終期は乳牛及び生産畜にあっては初産の牛とするが,その他については家畜別に検討する方針がとられる模様である。
2 増加過程にある家畜の年々の増加分は所得に計上せず,従って飼養管理費も必要経費に計上しないこととし譲渡所得額の算出の際に一括計算するように考慮されている。
3 青色申告による農業簿記の記帳方法は相当複雑なものであり,農民がどの程度までこれを利用するか疑問があり,又記帳方法も日本畜産協会が作成した必要経費の費目を尊重して速に研究するとし青色申告をしない場合に当然予想される標準率については経費調査資料を基準とした基準率を研究すべきであるとしている。

資産再評価説

 減価償却可能資産になる家畜の種類が決まれば再評価の範囲も決定される事になり,減価償却の不可能な家畜は譲渡の際再評価されたとみなされる。