ホーム岡山畜産便り岡山畜産便り昭和25年4・5月

飼料統制解除

飼料を安く買うには

万輪田里生

△永年続いた飼料の統制も近く解除になり飼料公団も指定販売店もなくなりましょう。こうなりますと飼料の生産工場は出来た飼料は誰に売っても……何処に売っても……飼料以外に売っても……いくらに売っても……よろしい訳です。又誰でも飼料が扱われます。

△永い間統制が行われていてこれが今回解除になるのですから昔通りの自由になる迄暫くの間は過渡期で多少混乱し価格も幾何か高くなるかもしれません。然しやがて落ち付いて価格も安くなるのではないかと思います。

△今後は統制がない訳ですから飼料の販売価格は売る人の自由で高い処には買手が行かない丈のことで買主としては少しでも安い処へ行って販売の競争が行われる様になりましょう。

△近来牛,豚等の下落は非常なものです。卵や牛乳も飼料に比べて安いと思います。飼料の価格は従来丸公とはいいながら相当高かったのでこれが統制が解除になり幾分安くなりましても畜産物に比べるとまだ高い様に考えられます。いくら自給飼料を利用すると申しましても購入飼料は相当いりますので畜産の経営を合理化すると共に少しでも飼料を安く買うということが畜産収入をあげる上において最も大切なことと存じます。然らば将来の自由経済においてどうしたらよろしいでしょう。

△先づ私は畜産生産物……牛乳……卵……等を共同で販売することを御勧め致します。即ち共同販売です。牛乳であれば酪農協同組合で最寄りの製乳工場へ……鶏卵であれば養鶏農協又は県販連で……単に県内にとどまらず有利で確実な処であれば大都市消費地へ出荷するがよいと思います。養鶏は将来伸びるために県外の大市場に今からどしどし進出して行くことが必要と思います。

△こうして共同販売して得た代金をその都度組合員に配分せずに,この金で飼料の共同購入をすることです。共同購入をするには

一.車扱い単位で生産工場又は大商人から直接買うこと。
二.荷為替付で買うこと。

が望ましいのです。こうすると飼料が安く買えます。数量は多い方がよいので車扱単位に纏めます。代金の決済は延払としますと勢い高くなりますので現金払即ち荷為替付の取引とすべきであります。

△売る方も……数量がまとまる……代金が現金で貰える……となりますと極めて好条件で交渉次第で相当勉強してくれると思います。か様にするにはどうしても生産品の共同販売が先決でその都度組合員から集金してやるなどということは到底できることではありません。そして1ヶ月毎にでも精算して残金を組合員に配分してやる様にするもよろしい。

△それで先づ団体(組合)を強化し自分の組合である以上御互は何事も組合のお世話になってやる……強制的でなく民主的に……自発的に……協力の精神をもって……ということにしませんと成立致しません。組合員であり乍ら一寸高いからといって自分だけが他に抜売するのでは仕事は出来るものではありませんから組合員の自覚が第一と存じます。組合と申しましても事業者団体法で申合せ組合は経済行為が出来ませんので協同組合をつくってやって下さい。出来ない処では県関係の団体の御世話になればよろしいと思います。

△最後に念のため飼料を安く買うには

一.団体によって生産品の共同販売を励行すること。
二.その代金をもって飼料を車扱単位で購入すること。
三.代金の決済は現金払(荷為替)とすることであります。これが将来の畜産経営の鉄則と申して差支ありませんでしょう。敢てみなさんにお勧め致します。

(25.3.12)