ホーム岡山畜産便り岡山畜産便り昭和25年4・5月

どうぶつ愛護に寄せて
応募入選作文!!
1等賞 1名

動物愛護

岡山県浅口郡玉島町
玉島第二中学校
2D 中桐芳子

 私達は路傍に咲いている名もない草花でさえも,何となく愛を感じる。そして自然の与えたすべてのものの生命の尊さを知る。私達の周りには命のある無数の物が生存している。それらの中,生活が私達によく似て,しかも最も関係の深いものは動物である。さて,その動物の中にも,我々人間の生活に有益な物もいるが,又却て害を与えるものも少なくない。有益な動物はどこまでも愛護し,有害な動物は,ぼく滅する様に努力しなくてはならない。―生きているものの命をうばうことは可愛そうだという見方もあるが―人間とは切り離すことのできない深い関係がある。もともと中国から来た干支も動物の名を取り,いろいろの例えにも,人の名にも,又ニックネームにも用いられて,日常の生活に取り入れられ大変親しまれている。動物のみならず、我々日本人は,植物をも大切にする人種であるといわれている。ヘレン先生が日本人は庭を愛する人種であると言われた。庭を愛し,風流を好む我々日本人が,動物を愛するのは当然である。昔から日本人は動物を愛して来た。小さな動物を愛する精神が人間生活の実際にとってどれ程偉大な力となることか。ナイティンゲールは少女の頃1匹の足を傷めた犬を見た。普通の人なら見ただけでそのままにしておくであろうが,彼女はさっそく犬の足に薬をつけ,ほう帯をしてやった。人は,「なにそんなことぐらい」と思うかも知れないが,それが終に彼女の一生を支配する偉大な精神となった。彼女は大きくなって看護婦になった。十字軍の戦いに,多くの罪の無い兵士達の傷つき倒れているのを見て,彼女は我身の危険を忘れて,敵,味方の差別なく彼等に手当を施した。それが万国赤十字の基になった。一番の源は,一少女の動物に対する愛の心から発足したのである。あの偉大な赤十字がこんなに小さなことから生れたのである。物に対する愛特に生き物に対する愛が如何に大切なものか。動物を愛さない者は,心が惨忍で恰も野獣のごとくになる。反対に動物を愛することによって人生に深い愛のうるおいが出来,ひとりでに大きくなり,世界中の人々とたがいに手をつなぎ合って行くことが出来るようになる。口で世界平和,人類を唱えても,一つも実行出来ないのでは何にもならない。世界平和を築くには先ず人々の愛の心を養わねばならない。その心こそナイティンゲールと同じようにすべての動物を愛するということだと思う。動物を愛護する人は,決して争など起さない。現在のような冷たい戦争も,人を愛し,動物を愛する心が世界に満ちることによって氷解して,我等が新日本の理想とする,武器なくして永遠な,真実の世界平和を確立する努力への第一歩として,先ず動物を愛護する心を養うべきである。