ホーム岡山畜産便り岡山畜産便り昭和25年4・5月

かね

◎些か微酔をおびての某氏稚気満々愛きょうを振りまいた挙句,車窓にうつる清流を眺めつつ苦吟?して謂わく,「水見れば水欲しくなる汽車の窓」ときた。この率直性と実感は酔余の憚らない余興と雖もしや脱性横逸して面白い。ことさらに粉飾とか虚勢を臭わせる俗人の多い当世巧拙は別としてこうした気分は嘗って昔「何事ぞ花見る人の長刀」と言った気持に通ずるものがある。猛々しさを捨てて裸になってつき会える様になりたいものだ

◎当然の義務履行を知らぬ顔で済まそうとしきつめられば空とぼけ,「うっかりとしとった知らなかった。悪気じゃあなかったからまあまあ…」と一応まるめこもうとするずるさが世にはびこる。おそるおそる道義をつけば開き直って「行く処迄行こう,覚悟がある」と来る。こけおどしの権まくが何時迄も通ると思ったら大間違いで伊達にお天道様は照らして居ないと思って貰いたい。

◎我こそ畜産を知り畜産と共に生きると称する畜産人が何と畜産を「もとで」に生き畜産を「食い物」にする場合が多いことか?
 全て世には利害関係や権勢欲に基づいている事が多い。「農民の負担軽減だ!!農家の福利増進だ」と時々躍起になって大見得を切る人にほんとうに農民の為を思い永久的な同情を持っての発言か否か?有畜農家の方々よ!農民の代表を選ぶ事に慎重でなくてはならない。

◎花咲き花散る頃ともなれば浮かれ気分の延長で不注意と怠慢の挙句,数千町歩の山火事を引き起したり身の仕末に困る事も仕出かすことが多い。不注意と無貧序に馴れてきた,この数年間ではあるが少しは足下に気をつけ身辺を振り返るようお互いの協力を求めねばこの貧乏国の再建は覚つかないじゃあなかろうか!!