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岡山県酪農大会

 今回の乳牛共進会附帯事業として5月10日共進会第2日会場で岡山県酪農協会主催の酪農大会が開催され,たまたま朝来の降雨にわざわいされ酪農民の出足は悪かったが熱心家ばかり約200名参集。
 来賓として惣津県畜産課長各係官並中央より田口畜産協会副会長,畜産試験場検査技官北海道月寒種畜牧場田島技官,日本ホルスタイン登録協会小林技師等多数であった午後1時開会田口畜産協会副会長の祝辞があった後,奥山県酪農会長選ばれて議長となり各地域酪農組合の提出議題について終始活発な討議が熱心に続けられ全部決議となった更に岡山県酪農協会提出の緊急動議による決議をあわせ新進岡山県酪農業振興の基礎を確立し宣言により確固たる決意を表明し午後3時半閉会とした宣言及決議事項下の如し。

決議

一.飼料検査制度の確立を要望す

 飼料の統制は去る3月31日限り撤廃され,既に粗悪な配合飼料疎其他種々悪質飼料が市販されている現状であります。斯くては将来畜産振興上極めて障害が多いと考えますので直ちに国に於いて検査制度を確立し,消費者が安心して購入使用し得るよう措置されたい。
 尚検査制度確立に当っては,其の為飼料の値上り等なき様特別の御配慮を願いたい。

一.酪農奨励機構を一元となし且つ強化されたい。

 我国農業経営を酪農により改善することは農業収益を増進すると共は,国民の食生活の向上,体位の改善に及す効果の甚大であることは今更申すまでもないことでありますが,その酪農に対しての行政系統が関係各省に亘り,その指導奨励も一貫したるものなく斯業に従事するものはその帰趨に迷うところであります。ついては当局に於かれましては此の際速かに農林省内に酪農局を設置せられ,一元的機構の下に酪農の指導奨励を図られたい。

一.酪農業に対して優先的に融資の途を講ぜられたい。

 我国食糧自給,生活改善に寄与し,農業経営を改善合理化するために酪農を取入れるこ とが最善の方法であることを自覚せるも,乳牛の導入,設備の建設並に飼料資材購入等の資金は,現在の逼迫せる農家経済に於いては頗る困難であり又一面適切なる融資の途がないので,これが奨励のため優先的に低利長期の金融の途を講ぜられたい。

一.自給飼料対策を具体的且強力に樹立されたい。

 乳牛の健康を維持し,牛乳の生産原価を引下げるためには,自給飼料の増産により購入飼料の需要を最小限度に減ずることが唯一の方策である。今後の酪農家は自給飼料の増産に精励しなければならないが,尚米麦作付割当は依然として撤廃されず,本県に於いてはこれが実行困難なる状態である。当局に於かれては此点特に御考慮相願いたい。

一.酪農課税を適正化されたい。

 酪農生産物たる牛乳は,乳幼児病人の欠ぐべからざる必需品であると共に我国民食生活の改善,文化の向上にはなくてはならない食品であるから,斯業発達のため速やかにこれが課税を適正化されたい。

一.野草の改良利用の途を講ぜられたい。

 畜産発達の基本は良質なる牧草の増産にあります。将来我国の畜産進展の為め原野,山林,提塘の草生,草質の改良に強力なる施策を国に於いて樹立され其実現を期せられたい。
 これが実現については一地方的施策はその実効が挙らない,是非全国的運動と致されたい。

昭和25年5月20日
岡山県酪農大会
代表者 岡山県酪農協会長 奥山吉備男
農林大臣 森幸太郎殿

決議

一.急速に酪農対策協議会を結成されたい。

 去る4月1日以降牛乳,乳製品及び飼料の統制が撤廃され,酪農業の経営に及す影響は極めて大きく,既に,乳価も値下げされた向もあり,将来斯業振興の為には関係各所相寄り協議すべき点があるので,県に於いて酪農協議会を組織しこれが審議機関と致されその安定と発展を期せられたい。

一.酪農の指導機関の設置と技術指導者の充足につき考慮されたい。

 酪農は相当高い技術を要し,従来の農業に合理的に取入れるには,知識技術の習得練磨を必要とするが,現在本県には酪農技術者の数が甚だ僅少であって酪農に志のあるものも技術的に躊躇してその志を達成し難い。これが指導のため酪農講習所の設置と,技術指導員を養成充足され,これが適正なる配置について考慮されたい。

一.人工授精所の拡充強化を図られたい。

 乳牛改良増殖のため優良種牡牛を多数牡牛に交配し,目的を達成し得ることは今更説明を要しない。国に於いても家畜増殖法を制定され,人工授精の奨励には着々とその方法が講ぜられつつあると聞及んでいるが,県に於かれても速に優良種牛を導入し,人工授精所を拡充強化し,乳牛改良増殖の為万全の策を講ぜられたい。

一.牛乳県営検査を実施相成りたい

 乳製品の品質向上は,原料牛乳の純良なるものでなければならない。又原料乳の価格はその含有脂肪率によって決定されているので,これが公平適正なる取引をするため速に県営をもって検査を施行される様御配慮相成りたい。

一.酪農業に対して優先的に融資の途を講ぜられたい。

 我国食糧自給,生活改善に寄与し,農業経営を改善合理化するために酪農を取入れることが最善の方法であることを自覚せるも,乳牛の導入,設備の建設並に飼料資材購入等の資金は,現在の逼迫せる農家経済に於いては頗る困難であるが,現在これに対して適切なる融資の途がないので,これが奨励のため優先的に低利長期の金融の途を講ぜられたい。

一.自給飼料対策を具体的且強力に樹立されたい。

 乳牛の健康を維持し,乳牛の生産原価を引下げるためには,自給飼料の増産により購入飼料の需要を最小限度に減ずることが唯一の方法である。今後の酪農家は自給飼料の増産に精励しなければならないが,尚米麦作付割当は依然として撤廃されず,本県に於いてはこれが実行困難なる状態である。当局に於かれては此の点特に御考慮相願いたい。

一.酪農課税を適正化されたい。

 酪農生産物たる牛乳は,乳幼児病人の欠ぐべからざる必需品であると共に我国民食生活の改善,文化の向上にはなくてはならない食品であるから,斯業発達のため速かにこれが課税を適正化されたい。

一.野草の改良利用の途を講ぜられたい。

 畜産発達の基本は良質なる牧草の増産にあります。将来我国の畜産進展の為原野,山林,堤塘の草生,草質の改良に強力なる施策を県に於いて樹立され其実現を期さられたい。

昭和25年5月20日
岡山県酪農大会
代表者 岡山県酪農協会長 奥山吉備男
岡山県知事 西岡廣吉殿

上決議に対する回答

一.酪農対策協議会の結成の件

 本年度予算面に於ても本趣旨同様の組織を必要と認めて審議会の1部会として現在その構成組織と人選に当たっている。
 近く知事諮問機関として発足するに至るであろう。

二.酪農指導機関の設置と技術指導員の充足の件

 酪農のみの指導機関は本県としては考慮していないが現在拡充されつつある岡山県種畜場の活用方を御利用願いたい。
 技術指導員も同種畜場で養成はするが県職員としての充足は困難である。
 然し現行の畜産技術普及員の適正配置について民間側との協力によって御希望に副う様努める。

三.人工授精所の拡充強化の件

 御趣向に同感,目下着々と実現を促進中である。之は乳牛についてはむしろ軌道に乗っている様に思う。益々御後援を乞う。

四.牛乳県営検査の件

 此の件は一応計画してみたが定員の問題で予算化するに至らなかった。
 御趣旨は良くわかるので関係方面や既に実施している地方を良く調査した上考慮する事を約したい。

五.酪農業に対する優先的融資の件之は地方的の問題としてよりも国家的施策に俟たねばならない。又政治家部門として取上げられるべき性質のものでもある。

 但し一面農家が融資に頼って導入し簡単に償還が出来ると甘く考えることは差控えねばなるまい。
 係りとしては勿論適当と判断される向に対しては努力は惜まない。

六.自給飼料対策を強化に推進する件。

 久しい間に亘り此の問題は施策し来たが食糧事情の窮迫と接触して実現を阻まれていた事は御明察の通りであるが最近の状勢の好転化に乗じて大いに力瘤を入れて行くが実績を向上する為に各方面とも格別の御理解と努力を希いたい。

七.酪農課税適正化の件

 奨励機関としては出来る丈軽減方に協力したいが何分行政庁としての立場もある。板ばさみの苦痛を御察し頂き団体行動としての御努力こそ適当ではないかと考える。

八.野草の改良利用の件

 六に於ての施策に含まれるから省略したい。
 以上簡単乍ら陳情決議に紙面を通じて御回答したが個々の問題で酪農家の為に有利であり実現可能の施策は誠心誠意貫徹を期したい。然し酪農の問題の焦点は現在及び将来共一般経済状勢に極めて密接な関連性を持って左右されんとしている。大きく言えば世界の乳業界とつながりをもってきている。之とつながって振興する為には根本的に合理的な経営組織をもち生産,販売共に頑固とした組織をもって行かねばなるまい。只徒らに投機的な考え方とか無理な立地条件のもとに経営とか或いはそれに伴う無理な依存心等は振り切ってやって行かねばならないと思う。
 主務課としてもこうした諸般の動きに留意しつつ酪農民諸氏と共に手をたずさえて考えである事を附記しておく。(畜産課)