ホーム岡山畜産便り岡山畜産便り昭和25年7月

巻頭言

中国連合畜産共進会出品家畜の仕上げに万全を期待する

惣津 律士

 本年秋の中国連合畜産共進会の出品家畜の仕上げについては関係府県はあらゆる秘策を講じて,本年こそ第1位の栄冠を獲得せんものと今や必死の努力を傾倒している。首位の獲得が行きづまった家畜特に畜牛の販売方途の打開に相当程度役立つことは1昨年の例に徹して明々白々たる事実である。
 本県においては第2次検査を終了し,来るべき県共進会における最後の選考へと頑張りつつある実情である。出品予定者は利害を超越した献身的努力を払われている事は私として深謝に堪えない岡山県の名誉を双肩に担われている関係上,今後の一段の奮起を切望して止まないが,畜産農民は総力を挙げて御協力申し上げる要があり,私としても何んとかして酬ゆる方法を講じたいと思っている。
 県共進会は久世町で開催される予定であり,金づまりの今日,地元としては大変御心痛のことと察せられる。連合共進会をひかえての県共はその持つ意義が極めて,大きいものがあるから,県畜連はもとより,各郡畜連においても,この際大乗的見地より格段の御援助を与えられて,真に挙県一致の共進会たらしめて戴きたいものである。
 国における農業関係の試験研究機関の総合が漸くその緒についた今日において,府県段階における農業試験場の整備総合の問題が浮び上って来た。この実施は各府県の実情にあくまで則したものでなければならない。単なる機構いじりのための整備総合が,従来大きい禍を残して,斯業の進展を寧ろ阻害した実例は多い。
 畜産の進展は即ち日本農業の躍進であるほど重要な使命を有する畜産が現在の姿において農業の中に飛びこんだ場合に充分な成果が期し得られるであろうか。更に府県段階において取り上げられる畜産の試験研究課題は何があるか。試験研究機関の総合には原則として種畜場と衛生試験場は除かれている。我々畜産人は畜産をより向上させて総合性を附与してもっともっと強力なものにして,然る後に農事との総合の線にもって行く必要があるのではなかろうか。我々は農業試験研究機関の中における畜産の将来のあり方について,農畜一体の理念のみあまりこだわらずに,夫々の姿を直視して研究して置く要がある。畜産人の限りなき畜産愛を切望して止まない。
 38度線遂に火をはく。我々はこれにおいても直視し,誤ってはならない。