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改正牧野法,家畜改良増殖法の解説

新牧野法はどうなっているか

 第7国会を通過した新牧野法は5月20日法律第194号をもって公布されたので,その主要点を以下簡単に御説明し読者諸賢の御参考に資したい。
 旧牧野法においては,牛馬の生産飼育のため放牧又は採草を為すを目的とし特に牧野として保続する必要あるものは行政官庁が牧野特定地に指定して改良を図って来たが,新牧野法においては,地方公共団体の行う牧野の管理を適正にし,その他牧野の荒廃を防止するために必要な措置を講じ,もって国土の保全と牧野利用の高度化を図ることが目的であり,特に国土保全の線のそって牧野も新しい見地より広範にこれが発展を期するにある。
 牧野とは,主として家畜の放牧又はその飼料も若しくは敷料の採取の目的に供される土地であって牧野管理規程を作成する牧野と保護牧野とに別れ,なお現在利用されている河川の敷地及び堤防についてもこの法律が準用されることになった。
一.牧野管理規程による牧野とは地方公共団体の管理に属する牧野であって政令で定めるものにつき,当該牧野が立地その他の諸条件に応じて最も効率的に利用されるように,牧野管理規程を定めなければならない。
 地方公共団体は,牧野管理規程を定めたときは,遅滞なく,知事の認可を申請しなければならないことになっている。
二.保護牧野とは,牧野が著しく荒廃し,且つ,保水力の減退,土地の侵しょくその他の事由により国土の保全に重大な障害を与えるおそれのある場合においてその障害を除去するため必要があるときは,知事はその必要の限度において,期間及び区域を定め,当該牧野の所有者その他権限に基き管理を行う者に対して草種又は草生の改良その他牧野の改良及び保全に関しとるべき措置を指示することができる。
 禿山に対しても右の指示に係る措置を実施することが技術的に可能であり,上措置を実施することにより国土の保全を促進するとともに,牧野の利用効率が高められるに比し,著しく多額の費用を要しないものに対して適用される。
三.河川の敷地及び堤防については河川法の規定により家畜の放牧又はその飼料若しくは敷料の採取の目的に供することを許可された河川の敷地及び堤防に対し準用される。
 国は,牧野管理規程に従い牧野の改良事業を行う者,保護牧野の改良事業を行う者に対し,当該事業を行うために必要な限度において資金の融通,牧野草の種子及び牧野樹林の種苗の供給等に関し,必要な奨励措置を講ずることとなっている。
 政令で定めるものを除く外,実施のための手続その他その執行について必要な事項は,近く農林省令で定められる。
 この法律施行期日は,保護牧野にあっては昭和26年4月1日からその他の規定は,この法律公布の日から起算して90日以内に政令で定める日から施行になる。
 旧牧野法(昭和6年法律第37号)は新牧野法施行により廃止になる。
 旧法による牧野組合は,この法律の施行の日から5月を経過した時に現に存するもの(清算中のものを除く)は,その時に解散しなければならないことになっている。