ホーム岡山畜産便り岡山畜産便り昭和25年7月

理想的農家の設計

農家の台所改良について

本村技師

 住宅は私達の生命と財産を守り,休養と慰安とを与え,明日への増産の意欲をもり立てる意味で,生活の根じろであります。しかし在来の住宅といえば今なお昔ながらのお客様本位の在り方が多く,一種の虚栄の対象として主人の社会的地位や資本等をその建物を通じて誇示するという。これらは何れも住宅の本質を忘れて邪道に陥ったものであります。
 この為毎日の家族の生活は粗末に扱われているのが一般の農家の状態といえましょう。
 家族の生活を中心とした明るい,働きよい,どこまでも住みよいものにするため,台所と便所,風呂,居間と寝室等日常生活に最も関係の深い所から順次設備を改めてゆきたいものです。中でも台所と便所は何をさしおいても改善したい所であります。
台所の改善については衛生的であることと便利であることを主眼として考えてゆきましょう。

1.方位と広さ

方位としてはなるべく東側又は東北隅にして日当りをよくしたい。台所に関する迷信も多いがこれらに支配されることなく,出来るだけ明るく日当りのよいところを選びたい。
今まで北側に作られた台所は出来るだけ広く窓をとることが必要であって,採光と換気をよくするために出窓や回転窓をつけるとよいでしょう。
広さは家族数によっても異なるが大体3坪から4坪が適当でしょう。

2.天井をはること

 空気の移動がはげしいのと,はりを鼠が横行するため不潔になり易いので,天井は必ずはりましょう。

3.土間はコンクリートにすること

 水を流して掃除ができるように,少し傾斜をつけ,夏はそのまま,冬は「すのこ板」にして,下駄をはかないで掃除ができるようにすると都合がよろしい。

4.井戸はポンプにして,できれば水道式にしたいものです。5,6戸共同で行えば簡易水道も比較的安価にできます。

5.流し,調理台,かまど,等の高さを一定にし,立ったままで使用できるようにし,上下運動を少なくする,調理台の高さは75pから78pが適当でしょう。

6.流し,調理台,かまどの相互の距離が1m内外に配置すればよろしい。

7.食器戸棚は開放しないで,改良戸棚にすることです。空間を上手に利用することによってムダ歩きも少くなります。食堂とのさかいには両面戸棚が便利でしょう。

8.火災の危険のないように,又燃料の節減からも衛生的にも改良かまどを備えたいものです。

9.流し場の下が最も不潔になり易いので,特に排水に注意することそして不潔になり易い所は手まめにきれいにいたしましょう。 

10.掃除に便利なこと

 等を考えて改善に当って戴きたい昨今新築される家屋を見ても,大半は在来のものと大差のないものが多いのはまことに残念なことであります。住宅は衣服や食事のように簡単に変えることができない点でも余程慎重に計画されねば悔を残すことになります。次に2,3の台所の改善例を示すから参考にして戴きたい

改良前
改良後
(例2)改良台所
(例3)農村四坪平面図

改良の要点

1.窓を充分とって明るくし出窓を作り外部を網戸にして昆虫の侵入を防ぐ

2.土間は土足のまま野良仕事から帰ってそのまま食事ができるように,椅子式と座敷の両様式併用(食卓は足を長短二様にするも可)

3.かまどの位置が中央にあるのは邪魔になるようであるが整理上都合もよく中央の空間も作らず食事の際,湯茶,こんろと食事が接近して都合がよい

4.かまどの下はアーチとして薪炭置場とする

5.水槽ポンプは室内に入れても可

作業の流れと設備器具

 材料を用意してから食卓にならべるまで,炊事の作業は大体きまった順序で行われるからその手順があと先きになったり無駄な動作をしないように流しやかまどを配列し,器具るいも,それぞれの場所にきちんとする。