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畜産ニュース

農林省主催家畜人工授精講習会開催さる

 去る6月19日から5日間,鳥根県八束郡及木村県立種畜場において,家畜人工授精を更に一段と飛躍的に,健全なる発展を図るため,生殖解剖学,繁殖生理学,精虫生理学,種付技術及び人工授精に関する高度の学理と技術を習熟,研究せしめる目的で,講師として東京大学農学部,鈴木善裕助教授,家畜衛生試験場中国支場,山内亮技官,畜産局衛生課,宇南山良一技官が出席のもとに開催された。受講生は中国,四国,近畿各県の家畜生産率向上指導職員及び人工授精担当者であり,本県より井谷技師,石井技師,檜尾技師が受講した。
 受講中変った主な点は次の様であった。

 今まで卵胞ホルモンの事を,プロラシA(ProlanA),黄体ホルモンのことを,プロランB(ProlanB)といっていたが,最近ではプロランAをF・S・H(Folloicle Stimulating Hormone),プロンBをL・H(Lutenginz Hormone)と呼んでいる。次に睾丸,精虫にはhyaluronidase(ヒヤルロ,ニダアゼ)と称する膠様物質を溶かす酵素があり,その酵素は,卵子の周囲に付着している。hyaluronic acid(ヒヤルロ二ック,アシッド)を溶かし受精する。故にhyaluronidose の一定度より少ない時は受胎率低下し,又一定度より多い時はhyaluronic acidのみならず卵子まで溶かすので受胎が低下する。hyaluronidaseは胚上皮系(セルトリー氏細胞,胚上皮細胞)のものから作られる。