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サブタレニアン・クローバー

青蛙洞主人

 本クローバーは欧州原産の1年生草であるが,その名の示す如く種子を地生させる。極めて固い土地以外に相当酸性の土地にも生育し砂礫地にも生育に見るべきものがあってかかる土地の草生改良上ヤハヅ草とともに見のがす事が出来ない。生草収量はこんな所では2−300貫程度にすぎないであろうが,少量の石灰と燐酸肥料を加える事によって5−600貫位に上げる事はさして難しい事ではない
 なお可成日蔭にも耐え得るので表土の流れるような所の土止用としてもよいと思う。本種は他の草種を圧倒するほど盛上がらないので混播によって刈取り牧草地の地力維持を計ったり,刈取放牛兼用地としたりするにもすぐれた能力を持っている。果樹園の被覆栽培にも良かろうと思われるがその方は現在試験中である。
 本草による草生改良は濠州及びニュージランドで成功して居り,本邦でも川瀬氏により実験され良好な牧草地が造成出来る見透がついている。
 本クローバーの特に重要視すべき点は種子の大きい事で発芽力が強く1度蒔付けたら後は自然に発生して乾燥に強く暑さに弱い事であろう。又採種量が多い事もその一つである2−3月頃にまくと,8月頃開花結実し,6,7月−9月初め頃までにまくと4−5月頃開化結実する。1坪当たり1合の種子を得られ,特に採取用にうす播して憐酸を施肥したものは収量多く2合に及ぶ事もある。被覆栽培の場合は反当4−5合,播種の場合は反当5勺,草生改良の場合は反当1−2合必要である。本草を用いての草生改良については近く再発行さるべき川瀬氏の(牧草追播による野草地の改良について)を参照願いたい。通常2尺位の草丈になるが時には6尺にもなるという。筆者の場合は通常4−5尺に達している。
 モクシユクとネコハギの中間というようなかんじのする草である。畜産物価格引下げのみが畜産業の真の発展を約束している現在基本飼料解決は最大かつ最急を要する技術的問題といわざるを得ないであろう。

(昭25.7.5)