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牛の流行性感冐岡山県下に侵入

 昨年7月九州長崎県を初発に,九州,四国,中国,近畿の各県下に16万余頭の牛が羅病して大恐慌を来したので本年度は特に警戒を厳にしていた処,6月初旬隣県兵庫に遂に発生し,つづいて7月中旬には広島県に侵入,9月10日現在2万頭が羅病した。県畜産課は県下各方面に再三侵入伝播防止の注意を喚起したのであるが,遂に本県にも8月下旬進入し,小田,浅口,後月,倉敷,児島,御津,岡山,赤磐の各郡市に散発的に発生し,10日現在では全県下に蔓延しその数7,000頭に及び,蔓延の徴があるので注意されたい。
 病状は突然40度から42度の高熱が出て悪寒が起り,この熱は早い牛では半日位でたいていは1日か2日位たつと急に下るものであるが中には3日以上つづくものもある。然し肺炎になったり,胃腸にガスがたまったりしない限りは余り長くつづくものではない。次に鼻さきは乾燥し,鼻汁を流す,鼻汁は水のような性質のものが大部分であるがまれには黄白色の膿のような鼻汁を流すものもある。まぶたは腫れて,その内側の結膜は充血して赤くなり涙を流す,呼吸は一般に早くなり,又咳をする牛が多いようである脈搏は弱く早くなる。又方々の関節が痛み,足の関節や,足のうらすじが腫れてきて,これに触ると熱をもっていて痛がる。その他びっこになったり,或は一時的であるが立起ることが出来ない様な事がある。或る牛の場合はぼんやりと立って居り,或は腰の方の感覚が鈍っていることがある。

経過 (栄養が良く丈夫で抵抗のある牛)2−3日
病牛―早い発見,良い手当と看護…………恢復
  ―手遅れ,不適当な手当や看護…………斃死
   (使いすぎ,悪い飼料栄養悪く抵抗力のない牛)

 病気の治りぐあいは一般に良い方で,余病を出さない限り死ぬ様なことはほとんど無い,大体半数は2日−3日位で回復し,胃腸にガスがたまったり,腰の方の感覚の鈍っているようなものは回復迄に7日から10日位かかり,又肺炎や関節炎になるとそれ以上かかるのが普通である。死亡するものは大体において胃腸の働きが悪くなり,その為めにガスがたまり腹部がはって呼吸が出来なくなったり或はガスが体に吸収されて中毒症状を起したりした場合や,肺炎を起した場合である。
 不幸にしてこの病気にかかった場合は安静を第一とし,牛舎内は特に清潔にして,湿気を防ぎ,又隙間風の入らぬ様にして,直接牛に風が当らないでしかも空気の流通を良くする必要がある。熱のある間は,毛布のようなもので牛の体を被って温かくしてやり,寝藁を沢山与えて寝心地をよくし,少しでも悪くなりそうな場合は手遅れにならぬようにすぐ獣医師の治療を受けるようにされたい。病気は大体2日から3日で良くなるから病気の初期に下熱剤や,下痢を与えたり,浣腸をしたりするのは良くない。
 若し牛が病気になった場合は,他の牛にうつさぬように隔離し,管理している人の他,用のない者は出入りしないように気をつけ,出入りの際には必ず手や足を消毒する必要があるし,糞尿,鼻汁などの汚物のついている寝藁等はやたらに散らさぬように注意し,飼槽水槽等も他の牛と一緒に使ってはならない。