ホーム岡山畜産便り復刻版 岡山畜産便り昭和25年9月号 > かね

かね

◎スッタモンダの畜連劇も大詰に近づいた。登場する役者の個々の芸は見られるとしても全体としてのまとまりとセリフの食い違いがあって大向うの受けが当らなかったようだ。何とか一旗再興と行きたいところだが舞台を取り散らかしたままで役者も道具方も引き退って仕舞うならばどうにも次幕が上がりそうにもない。

◎良きにつけ悪しきにつけ畜産シーズンとなった。
 連合共進会の開催といい,畜産物の需要増大,値上り等の裏に馬の流脳,牛の流感が猛威を振ってきた。あたかも台風のように県下は言うに及ばず全国をせきけんする気配が濃厚となった。
 好事魔多し。花にむら雲のたとえのようにどうもうまくゆかないものだ。

◎牛馬税が廃止されたかと思ったら又再燃し出てきた。どうしたわけだろうかと探索してみると農民の方では牛馬税が廃止と同時に反って何とか彼とかでしぼられる事が多くなりそれとは逆に公共施策は後退するという。
 これでは農民負担を軽減すると大見得を切った面目が立つわけにゆかない。
 農民よ!!活眼を開いて徒らに良い加減な御題目に迷わされてはならない。

◎本文を書いてる中に牛の流感の蔓延状況が次々に入る。既に広島は約2万頭の発生あり岡山も数千の発生推定がされるに至った。

 広島は9月7日附で伝染病予防の適用をし市場等は閉鎖するという。岡山も共進会の開催困難となってきた。防疫の為にはこれも止むを得まい。徒らに派手な面だけを追っては悔を残すことにもなろう。