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編集室から

 ◎台風期を迎えて主穀農業は此処当分心配なことである。化学は進歩しても現在の力では台風の期に入ってその進路と速度は知ることができてもその進路を変えさせることはできない。一台風の上陸により数億円の被害を生じるが,原子力でも利用して,大海の真中で台風を消滅させることは農人の夢か?

◎天高く,馬肥ゆる季となった。9月は共進会月である。来月行われる中国連合共進会の予選の意味を含めて県共進会も行われる。共進会の持つ意義は極めて重大なものがあるが然し為めにする為めの共進会も無きにしもあらず,心すべきことではある。

◎連合共進会を目指して最後の追い込みをかけている。各県共に「この一戦」に全力を傾注しているが不幸にして本県は最後の仕上げを行う時になって流感の侵入で日々数100頭の牛が倒れている。然し連合共進会事務当局の方針は1,2県の不参加があっても共進会は決行するとのことである,共進会に参加できなかった県の受ける有形無形の損害を考えるとどんな犠牲を払っても参加しなければならない,当業者各位の御理解を頂きたい。

◎8月になってから急に家畜の値上りが来た。曰く「寄せハムの材料に雄牛仔の肉を使っている」とか,曰く「牛肉の缶詰を造っている」とか,曰く「皮革の需要が増加して内地ものが足らない」とか等々これも朝鮮動乱の余波か?一時的価格の変動に迷わされることなく着実な畜産の歩みを続けてほしいものである。

◎他面最近のニュースではオランダバターが大量に輸入されるような話があり,これと併行してアメリカからの還元牛乳原料の輸入問題が起り目下乳製品,酪農両界にセンセーションを巻き起しているようである。これが本格的な問題として俎上に上ることになれば酪農界としては重大問題になって来る。将来の酪農に対する政府の確たる方針を明示して業界の混乱を防止されたい。

◎先般実施した牧野と自給飼料の講習会の速記録と,吉岡隆二氏と牧野勉氏の自給飼料の御研究を取まとめて「自給飼料の指針」を発行し本月号の附録として会員に配布する予定であったが印刷が間に合わなかったので来月号に附録する。会員意外には部数の都合で配布できないと思うので至急御申込みを願いたい。

◎より良き畜産便りを造りたいと編集室は張り切っているがドングリの寄り合いでは思うにまかせない。読者増加運動を起しているので一人でも多く御紹介を願うと共に読者の正しい声を聴かせて頂きたいものである。