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巻頭言

輸出畜産物について

惣津 律士

 本県の輸出畜産物と言えばローラーカナリヤとアンゴラ兔毛が挙げられるが,遺憾ながら活発な成績を示していない。しかし最近の情報に依るとローラーカナリヤは輸出のシーズンである10月−12月に入って居り,価格は生産者の庭渡しで1,000円前後と予想され,農林省では本シーズンの輸出予定を2万羽と見ているから,昨年の5,000羽,一昨年の1,500羽に比べて相当程度の外貨が獲得し得る訳である,県に於てはカナリヤの健全な普及を図るため10月20日から3日間岡山市天満屋デパート4階で展示会を開催する。
 アンゴラ兔毛については本年春から不況が伝えられて,アンゴラ兔の将来に暗影をなげて来たが,夏頃から逐次活気を示して来て,本年中に米,英国に日本から5万封度の輸出が可能と見られている,価格も立直って1−2インチのものでF・O・B一封度2ドル50セント乃至2ドル80セントで取引されている。
 カナリヤでもアンゴラ兔でも現在までは甚だしい投機的色彩を帯びて,予想外の高値を呼んでいるかと思うと,直ぐ生産過剰になって急転下落している。これはカナリヤの罪でもなく,アンゴラ兔の罪でもない。一般家庭の副業として健実に発達しなければならないものを,一部の飼育者とか悪質の取引者のために利用され勝ちであるのはまことになげかわしい事である。
 特にアンゴラ兔に於ては兔毛の自家加工利用が積極的に行われて余剰が輸出に向けられるべきで,仔兔の売買が主流をなしている飼育では健全な発展は望めない。
 これらを単なる換金畜産と見做すことは,結局に於て輸出振興の資に永く役立たないであろう。飼育者も取引者も一丸となって,真剣にこれら飼育の本義を再考して,国内に於て健全なる飼育と利用の普及に努めるべきで,かくして,始めて立派な輸出畜産物となるものと信じて疑わない。
 カナリヤもアンゴラ兔も飼育は簡単で,一般家庭の好適の副業である。
 私はこれ等の可愛いい動物を誰もが安心して飼育出来る日が一日も早く到来する事を常に念願している事を敢えて申上げて置く。