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「レッド・クローバー」栽培の手引

一.組成

 ○レッド・クローバーは荳科に属する半永年性の牧草でその組成は次の如くである。
 下表の如くレッド・クローバーは蛋白質富み,最も優良な牧草である。

水分 灰分 粗蛋白質 粗脂肪 粗繊維 可溶無窒素物 備考
9.21 6.97 15.04 3.12 24.77 40.89 100.00

二.産地

 ○従来はほとんど北海道に生産し,内地においては,北海道から種子を入手したものであるが逐年内地においても栽培し採種を行う様になった。一昨年より進駐軍の好意により種子が多量に輸入されている。

三.飼料作物としての重要性

 ○健全なる畜産の進展の要請されている現況に鑑み粗飼料の増産利用を図ることが畜産増殖の基盤であるが中でも野草を改良して優良な牧草を豊富に供給することが焦眉の急務である。
 ○従来我が国の野草はほとんど改良されていないので畦畔,堤塘,山裾その他の未利用地を利用して牧草の増産を図ることが必要である。
 ○禾本科のものは,その入手利用が比較的容易であり飼料事情から見ても特に荳科の牧草の増産利用が必要でこの意味からレッド・クローバーは最も好適なものであり又重要なものである。

四.栽培概要

(一)適地

 ○酸性をきらう植物であるから開墾地等は特に酸度が高いから注意を要する。
酸度はP.H6.5前後が適当で酸度の高い処は石灰を入れて中和する従来の軽験に徴すれば反当15−20貫程度でよいようである。
 ○乾燥に失する処又は砂地は適しない,湿気の比較的多い処が適当であるが余り地下水の高い処は適しない。
 ○レッド・クローバーは草という観念を去って作物と思って,栽培することが必要であり,土地は可及的良い土地を選定することが必要である。

(二)整地

 ○播種しようとする場所附近の雑草を短かく刈る。
 ○播種の場所を鍬巾に耕し,雑草の根を除去する。
 ○播種10日〜2週間前に石灰を施用し酸度の適正化を図る。酸度検定器で検定して見るとよい。播種前に出来ないときは,発芽後2週間程度して実施す播種の直前又は直後はよろしくない。

(三)播種

 ○播種適期は春,秋の彼岸前後である。
 ○荳科の植物であるから根瘤菌の接種を行って播種すれば極めて好成績である。
その要領は別紙の通りである。
 ○播種量は反当3合が標準であるが5合以下とすること。厚播は発芽後の成績不良である。
 ○播種後は軽く覆土する。

(四)発芽

 ○播種後3−4日にして降雨あることが最も望ましい。
 ○播種後6日位で発芽する。

(五)肥培

 ○翌年1月及び2月の候に施肥を行う。1月に稀釈牛尿,2月に腐熟廏肥を施せば申分ない。
 ○前にも記した通りレッド・クローバーは耕地に栽培しないので草類という観念で管理を怠り易いが,これは作物であって,何処までも栽培するものであるという考えで取扱うことが最も必要である。
 ○過燐酸石灰を反当2−3貫,基肥又は追肥として必ず施用すること。

(六)収穫

 ○レッド・クローバーはよく生育すれば3尺程度となり普通でも3尺以上となりよく繁茂する。
 ○播種の翌年は2回収穫する。刈取の場合は余り下から刈取らずに2−3寸残して刈る。余り下から刈ると生長点を害し,生長がおくれると共に往々にして枯死することが多い。
 ○刈取ったものは生草,乾草或は「エンシレージ」として給与し何れも好適である。
 ○3年目からは,年3回収穫し得て,年収量反当1,200貫以上に達する。

(七)植替

 ○6年目には植替える。
 ○レッド・クローバーは叙上の通りその栽培は極めて簡単容易であり,栽培し得る土地は何れの処にでもあるので飼料増産の重要性に鑑みこの方法によって本県の野草を牧草化したい。
 ○この事業は単に指導地のみが優良な成績を収めても効果はすくないのでこれを指針として県下全般に推進すべきである。
種子は県において斡旋するから指導地が中心となり,広く県下に普及し畜産の増殖を期せられたい。