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畜産ニュース

かね

◎台風のように牛の流感がせきけんした県下で罹患牛が約3万頭,斃死牛が凡そ140頭に及んだ。これを金額に見積ると数千万円になる。全て農民の負担であった。不可抗力とは言い乍ら農家の災難であった。
 これに対して貧弱な県施設の防疫陣が陣頭に立って奮闘した。畜産団体も活躍した。中には過労の為一時重態に陥った職員もあった。けだし畜産人の美談として残るであろう。これに反し暴利をむさぼった開業獣医もあるとか聞く。真剣に努力する者と,ほくそ笑む者が世の中にはあるものだ。

◎流感の台風一過,ようやく秋晴の畜産シーズンともなり待望の共進会も蓋を開けた。
各地の郡共も又県共も堂々たる逸品揃いである。次いで中国連合共進会が鳥取で開催され県下の代表を送ることとなる。岡山県の畜産が再検討される秋である。この成績の良し悪しははっきりと畜産経済界に反映してくるのだ。岡山の畜産人が鼻を高くすることが出来るか,手前味噌が地に落ちてベソをかくか。天下に公表する試金石となるわけだ。

◎畜連の新陣容がなり再建のワンステップを踏み出した。と言っても会長,副会長が代わったところだ。刷新と運営改善をめざしているとか聞くが最も肝腎なのは内外の和であろう。人の和をもたらすのは人格だ。金と力の無い色男も役に立たないかも知れないが徒らに顔と力を振り廻してみても決してチームワークをしっくりと築き上げることにはなりますまい。どうか自重を望むそして内外に充実し名望ある畜連を再興してほしい。

◎県畜産関係職員諸氏!畜産関係の諸懸案が岐路に立っている。第一線の業務にも足りないものがある。大いに反省して努力してゆこう。随する者は台風の被害を蒙ることがある。人為的な台風の被害を!