ホーム岡山畜産便り復刻版 岡山畜産便り昭和25年11・12月号 > 編集室から

編集室から

◎秋も深まり,猫の手も借りたい収穫の季節となった。有畜農家の実績が顕れる時でもある。たわわに稔った稲穂を笑顔で眺め,半年の苦労を喜びの中に思い浮かべつつ利鎌をとぐ農民の方々に感謝の誠を示すと共に造物主である神に感謝の祈りを献げたい。

◎畜産の祭典である県共進会,中国連合共進会も盛会の内に終った。流感で出鼻を挫かれ,気遣われた連合共進会も先ず先ず優秀な成績で喜びの内に3つの農林大臣カップを獲得したことは御同慶に堪えない。然し和牛登録研究会の出品附添人の中に犠牲者を出したことは洵に残念なことであった。謹んで哀悼の意を表します。

◎連合共進会出品の肉牛が岡山へも3頭帰って来て岡山屠場へ入った。久しぶりで肉らしい肉が店頭に並んで人気を呼んでいる。こんな肉は何年ぶりかの事であるが100匁250円と300円ではサラリーマンには一寸手も舌も出ない,横目で眺めて眼の正月をしただけか?然しこれを契機として南部の肉牛地帯が動き出せば“岡山肉”の名声を快復するのも間近いことと思われる。それ迄は造るだけ,眺めるだけで辛抱しますか。

◎牛乳及び乳製品の規格が決定公布された。酪農家の声は遂に東京迄は届かなかったらしい。この規格を適用すれば全国の市乳も原料乳も99.9%迄停止されると思う。母乳の無い乳幼児を持つ世の母親達はこんな法律の出ていることも御存知ないのであるが,不意に乳が出なくなったとしたら一体誰の責任なのか。それはさておくとして検査員の中でフォスファターゼ反応の判る者が何人居るか知らん。

◎農繁期を迎え牛の活動が必要な時に流感の遺物である咽喉頭麻痺症が発生している。無理な使役や搾乳が原因らしい,本文を参照に御注意願いたい。

◎本号は共進会特集号として共進会の状況をお知らせする。出品家畜の詳細は各係主任よりの報告の通りである。県民一致の努力と準備が今日の成果を得たのである。岡山県畜産史上に特筆大書して栄誉を称えなければならないと思う。共進会記事を掲載する為め本月の発行が遅れたので勝手乍ら12月との合併号にさせて頂きます,悪しからず御諒承願います。