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巻頭言

昭和26年の新春を迎えて

惣津 律士

 岡山県畜産史上に輝く1頁を残した昭和25年を我々は心から感謝の気持で送り,ここに希望に満ちた新春を迎えた。
 年があらたまると、誰もかれも今年こそ昨年に倍して頑張ろう,あれも計画したい,これも是非やりとげたいと願うものである。併し日がたつにつれて,この気持が薄らぎ勝ちなのが常ではなかろうか。いつも緊張している事は出来ないけれども,事にあたっては新春のこの純情で張り切った気持を失いたくないものである。
 今や畜産が国民生活上はもとより農業経営上益々その重要性を加えて来て居り,国家及び国民の畜産に期待する所は極めて大きいのである。今般の12月の県議会を見ても畜産の振興を要望する声は以前に増して強くなって来て居る。この要請に対して私は本年こそ地についた畜産に移行せしむべく最大の努力を払う決意である。解決を要する畜産の問題は山積しているが経済界も安定の方向にあるし,飼料事情も好転して来ているので,まさに畜産振興の絶好のチャンスである。昨年春以来の悪条件を頑張り抜いて10月に勝ち得たあの感激と教訓を我々畜産人が更により固い決意を以って本年に望むならば,必ずあらゆる案件を解決して畜産岡山の名声を不朽たらしめるものと信じて居る。
 団結と心からの協力,信頼,そして畜産本然の姿の直視を私は年頭に切望して各位の奮起を御願いする。