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躍進する和牛の登録

全国和牛登録協会岡山県支部

 「信用は登録の生命」と大書した全国和牛登録協会専用カレンダーも1枚1枚とめくられ最早新しい昭和26年を迎えました「復興より安定へ」の言葉通り,終戦当時よりの混雑でこの4,5年の間は文字通り仕事に明け仕事に暮れる忙しさでしたが,その後登録協会の設立,人員の整備等,漸く安定へと向い輝かしき歴史と伝統の下に,無限に躍進しつつある和牛の登録も皆様の信用を基盤として和牛改良に大きく貢献している事は誠に慶ばしい事であります。
 そこでこの輝かしい年頭に当り,過ぎし1年を顧りみ,新年の初夢を書く事は誠に楽しい事であり以下筆を進めて見ましょう。

一.昭和25年の思い出

 我々畜産人として昭和25年は忘れる事の出来ない年と思います。丁度畜産50周年に当り数々の意義深い記念事業が行われましたが,その内中国連合共進会,全国和牛登録牛研究会等正に本邦畜産の豪華版でありました。尚私達に関係深き事は過去30年来実施されて来た和牛登録の飛躍的改正が行われた事は和牛の改良史上に重要な1頁を刻む年と思われます。
 我が岡山県支部に於いても意義深き事業が次々と行われた事も懐しい思い出となる事でしょう。

(1)支部組織の誕生

 全国和牛飼育者を会員として民主的な組織に依り設立された登録協会もその下部組織の確立を要望されていましたが県下各会員の強き要望に依り3月19日目出度く誕生し,各会員より選出された総代に依り民主的運営を図られた事も昭和25年の最もたる事柄の1つであります。

(2)和牛登録の普及宣伝

 前にも申した通り25年の昔より行われて来た和牛の登録も種類の固定よりさらに進んで能力の向上を計り,さらにその遺伝質の強化を計るべく画期的改正が10月13日より行われました和牛人として亦会員としても永久に伝えるべき事と思います。
 この詳細については本誌前号及び前々号で述べた通りですが広く会員の皆様に知ってもらう為に大版ポスターを県下へ15,000枚配布説明し一般の登録の趣旨改良意欲の向上を図りました。

(3)会員組織の拡充

 協会設立以来本会の会員加入は現在県下会員数24,014名の多きに上って居ります。昭和25年加入者は5,319名にして各郡別の会員数は別表1の通りです。

別表1 登録協会会員加入成績

郡 名 郡 名 郡 名
御津 545 浅口 201 真庭 3,620
赤磐 211 小田 1,198 苫田 3,903
和気 93 後月 1,166 勝田 1,446
邑久 6 吉備 1,082 英田 974
上道 3 上房 1,953 久米 1,125
児島 109 川上 2,129 団体 5
都窪 431 阿哲 3,510 合計 24,014
(4)登録審査の実施

 昭和25年初より10月13日まで県下に計画的に登録審査を実施し,延47郡140ヶ所に於いて実施し,受検頭数5,224頭の多きを数えのその成績は別表2,3の通りです。

別表2 昭和25年月別登録審査成績表

月 別 実施郡数 実施個所数 受  検  頭  数 合 格 頭 数
本 質 予 資 本登録 予備登録
1
2 5 13 237 193 430 65 204 269
3 6 19 408 400 808 69 493 562
4 7 23 428 386 818 107 383 490
5 10 30 376 357 733 93 420 513
6
7 6 18 262 258 560 56 300 356
8 7 26 638 587 1,225 104 703 807
9 4 5 264 222 486 19 145 164
10 2 6 109 99 208 52 98 150
延 47 140 2,722 2,502 5,224 565 2,746 3,311
備考 10月12日までで13日以後は新規程による。

別表3 昭和25年郡別登録審査成績表

郡連名 実施回数 実施延場所 受  検  頭  数 合 格 頭 数
本 質 予 資 本登録 予備登録
御津 5 11 237 252 489 31 307 338
赤磐 2 5 37 57 94 4 62 66
和気 1 1 7 3 10 3 3 6
邑久
上道
児島 1 1 14 12 26 3 11 14
都窪 5 9 98 89 187 38 82 120
浅口 2 4 25 14 39 9 11 20
小田 3 9 127 166 293 19 180 199
後月 2 3 61 84 145 6 78 84
吉備 7 18 292 280 572 111 282 393
上房 2 8 154 110 264 36 140 176
川上 3 9 270 189 459 61 219 280
阿哲 2 12 362 288 650 72 312 284
真庭 3 16 305 272 577 66 382 448
苫田 3 14 443 325 768 51 391 442
勝田 2 6 150 193 343 27 139 156
英田 1 3 33 56 89 9 46 55
久米 3 11 107 112 219 19 101 120
合計 47 140 2,722 2,502 5,224 565 2,746 3,311
備考 本表は昭和25年1月より10月12日規定改正までの件数を示す。
(5)優良牛の表彰

 県下各郡の優良牛の栄誉を讃えると共にその育成意欲の向上を計る為畜産共進会の入賞牛に賞状並びに写真を贈呈した。

(6)講習会の開催

 登録の目的,内容及び審査方法を広く会員に知らせる為石原博士を招聘して多大の感銘を受けた。

二.昭和26年の登録の方向

 輝かしい然も意義深い昭和25年のバトンを引受けて益々登録事業の整備発展に努めたい。特に改正規程の真髄たる和牛の遺伝質の整理,強化を図る為その蕃殖成績を詳細に調査して,県下各飼育者の緊養する和牛より1頭の不良仔牛も生産しない様その経済的価値を高める様に努力する。これが真の和牛登録の目標でありひいては和牛改良の真髄であります。この為には次の様な方向にその事業を進めたいと思います。

(1)信用ある登録事業の助長

 過去の長い間着々と行われて来た成果に依り登録に対する信用が揚って居りますが,さらに拍車を加え,事務の確実迅速,産犢検査の厳格なる励行,審査の厳正公平等旧年に倍して実施したい。

(2)産犢検査の厳格なる励行

 登録の基礎をなすものは産犢検査にして之を厳格に励行してその蕃殖成績を明記し,種雄牛の交配成績を知り之に依って改良指針を建て着々とその成果を高めたい。

(3)不良遺伝因子の除去

 前に述べた通り産犢検査時失格及び奇形犢を調査して之を登記しその両親よりの生産犢と順次淘汰し遺伝因子を選択し之により蕃殖成績を明確化し,不良犢の生産を防止し会員の経済的損耗防止に一層努力したい。

(4)高等登録の審査

 和牛最高の高等登録牛の調査選定をなし高等登録審査を実施する。

(5)改良意識の高揚

 登録は和牛改良の一大事業にして会員同志の結合により初めて成果を揚げる事に総ての意識を結集すべく講習会,研究会,登録審査等を利用してその認識を深からしめる様にしたい。
 以上大要を記述したるも之に附随して種々の具体的な事業が伴うと思いますが要は黙々とそして確固たる信念のもとに和牛の登録を行い,会員各位の欲する優良和牛造成に一路改良街道をばく進したいと思います。
 各位の旧来に倍しての御努力をお願いしたいと思います。