ホーム岡山畜産便り復刻版 岡山畜産便り昭和26年1月号 > かね

かね

◎或る雑誌に「悪口雑言する愉しさ」と題するジャーナリストの放言座談会を開いている。
 悪口雑言は悪趣味だ。卑怯だ。と評するよりも日常我々の風情では何か溜飲を下げる様な魅力があるものだ。
 と言ってお互に共通の職場とか職域にあって感情的な個人の中傷ともなると之は棘々しくて聞き辛い。
 感情の限度。言葉の表現程度に加減が要るようである。

◎ところで1つ……
 唯我独尊手前みその上にドッカとアグラをかいて勝手気儘な御詑を並べて世にはびこる者が本県畜産界にも居る。
 殊に高名の地帯にのさばることは妙であって恰かも野草が牧草を押しのけ,又悪貨が良貨を駆逐するが如しとでも言われようか……

◎平等と言い民主と呼ぶが真の平等であり民主的な在り方にはもう少し常識的水準が高められなくてはなるまい。そしてその中に社会的秩序が守られてこそ立派な民主主義が結実
するものだ。
正月早々悪口雑言平に御寛容の程を……

◎「記録を作れ,そして記録を破れと言う諺がある。1950年の最高記録は1951年には更に更新して初めて進歩が生れる。
 それが昨年の凱歌が本年は挽歌となったのでは岡山県畜産界の面目に関わる。
 最優秀選手の作ったレコードに続いて全体のレベルを向上して確固たる伝統に基いて行かなければならない。

◎岡山県畜産界には反省が要る。
 目先が利き過ぎて「上手の手が水洩れる」の口で利害のソロバンがうますぎれば反って穴が出来る。
 販売宣伝も必要だが信用と誠意は宣伝効果を数十倍にプラスする。