ホーム岡山畜産便り復刻版 岡山畜産便り昭和26年1月号 > 編集室から

編集室から

◎先ずもって新年のお慶び芽出たく申し納めます。同人一同新たな抱負と希望をもって第2年目の出発を致します。
 「いろはかるた」に「ねり歩く牛のようだれ」と言うのがあります。牛仲間である吾が「畜産便り」の歩みも遅々として御満足は頂けなかったと思いますが,細々乍ら1ヶ年続けて来ました。細い乍ら,切れそうで切れないのが牛の「ようだれ」であります,今年も亦それの如くに,太かったり細かったり,然も切れないように続刊します。変らない御愛顧と御支援をお願い致します。

◎新年と共に干支の動物が毎年年頭の話題になります,考えてみれば干支の動物の半分は家畜であり,何かにつけて之等の動物が吾々の話題に上って来るにも拘らず日本人の家畜に対する親しみと理解がないのはどうしたことか。歳末になって新聞社や雑誌社が眼の色を変えて翌年の干支の動物の写真や記事を探す程,平素熱心に家畜のことを取り上げてくれたらなあと思うのは畜産人のひがみか。

◎今年は兎の歳である。昨年迄あれ程騒がれたアンゴラも新聞写真の材料に探してみれば殆んどその姿を認めないし,たまに居ても写したい意欲の浮んで来るものが殆んど無い,栄枯盛衰は人の世のならわしばかりでは無いらしい。利に動く商人畜産の弊を此処にも発見して寂しい気になる。畜産はもっと大地に根を下したもので在りたい。

◎同じ兎でも毛皮用の在来種は絶えたようでも生き残って町の中でも時々その姿を認める。毛皮となって加工されデパートへ並べられると2,3枚合せたチョッキが数百金で売られるのである。肉と毛皮の為一身を犠牲にした在来種を以って冥すべしか。

◎本号は各係主任に各自の26年の畜産に対する抱負と希望と設計とを書いて貰った。この設計が新年度予算に如何なる形で乗って来るかによって26年の畜産が伸びもし,縮みもするのである。暮れの県議会で牛馬税は一応否決された。然し畜産を伸ばす為に応援して下さる畜産人個々の声を耳にして意を強くしているのである。「畜産岡山」の名声を維持し,高揚する為に一段の御声援を願って已まない。