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冬期の緬羊管理

 緬羊の種付を終了したら,種雌緬羊と種雄緬羊は夫々別々に収容し,種雄緬羊は体の快復のため休養させ,種雌緬羊はいよいよ妊娠羊として一層丁寧に管理し刺激を避けて安静にすると同時に,過度に亘らぬ程度に運動させ,新鮮な空気と日光を充分に与え,羊舎内は温暖にして賊風を防ぎ妊羊の健康増進に努めなければならない。
 春から秋にかけて緬羊の主要飼料である生草は水分が多く軟かで栄養分に富んでいるが夏以来準備しておいた乾牧草,野乾草,荳稈等は生草に比べると,飼料価値が一般に劣るものであるから,其の不足栄養分を補充する意味において,穀実類例えば屑豆,燕麦,其の他の麦類及び麸g,米糠等を加える必要がある。
 又多汁飼料(馬鈴芋,人参,蕪菁,ビート,南瓜,甘藍)などの細切したものを与えることは,食欲,消化及び泌乳等の促進に有効であるから出来るだけ圃場の残滓を利用して,少量ずつでも毎日与える様にすると非常によい。
 又飼料の給与量は一様には言えないが大体1日1頭当り量は次の通りである。
 乾草其の他の粗飼料400〜500匁濃厚飼料2〜3合,多汁飼料100〜120匁,食塩4〜5匁である。胎児の発育と共に母羊は漸次営養を仔緬羊の方に摂取されるから,これを補給する意味において妊期の進むにつれて,良好な飼料を幾分宛多く給与して,胎児の発育を良好にすると同時に分娩後に於ては多量の泌乳を促す様に細心の注意を要する。
 粗飼料は草架により或は細切にして濃厚飼料及び多汁飼料の細切したものは飼槽によって朝夕2回又は朝昼夕の3回に分与し,食塩は羊舎の一部に棚か台を設けてその上に載せて自由に舐食させ,飲料水は清潔な水槽に絶えず満して欲するに委せて飲せるがよい。
 飼料の給与に就て最も注意を要することは其の種類と分量を問わず急激に変更することを避けて漸次変更増減し尚腐敗或は凍結したものを与えない様にすることである。
 冬期間の飼養管理の適否は蕃殖育成の成績に影響することが最も多いから飼育者は万全の注意を払って優良な仔緬羊の生産に努力しなければならない。