ホーム岡山畜産便り復刻版 岡山畜産便り昭和26年2月号 > 岡山県畜産に対する私の希望

岡山県畜産に対する私の希望

邑久酪畜連合会 大橋武一

 今年こそはと年のあらたまる度に希望と抱負を盛り沢山に用意しても,なかなか実現しないのが憂世でありましょう……が特に本年は次の点に力を注いで欲しい。

一.先ず酪農方面に於いては,種畜場の種雌牛を今一歩優品に揃えて貰いたい数の多い事より粒の高級品を切望したいのであって,種畜として望ましからざるものは思い切って淘汰もし,優品の生産に主力を注いで欲しい。
そのためには県内の産のものも優れたものは何時でも買上げ出来るだけの方途も講じて欲しい。毎年2斗5升級位のものは種畜場の面目にかけても出して貰わねばさっぱり魅力もなくなりますよ。

二.尚種雄牛にしても2頭より飼えない様では心細いと思う。少くとも現在の倍位の頭数は,而もより以上のものを繁いで授精の希望に充分応えるだけの用意も是非望みます。

三.次は生産の取引に関係して常に痛感していることは乳質の改善と脂肪取引の安定化のために基礎的牛乳の検査は公正中立であるべき原則に基いて須らく県営に於いて実施して貰いたい。最近のニュースであるが淡路島の某組合が1日3石も出る組合が平均3.6%もあるそうだ。これ等は長い県営検査の賜もので乳価50円以上となって明朗酪農もここから始まり,地方的酪農も発達すると言う実例に徴しても本年に是非実現化して欲しい。