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編集室から

◎今年の正月は一般に景気が良かったのか正月の行事も殆んど戦前に還り,どことなく豊かな正月のように見られたが,それだけ心と懐に余裕が出来たのなら有難い話だが,何んとなしに付け景気の様に見えたのはサラリーマンのひが見か。通貨は昨年より1千万円も増している由であるが何処へ集ったのか我々には縁が無いらしい。然しまあ人並みに正月の出来たことを喜んで,今年も大いに張り切りたい。

◎正月はどうにか終わったが,内外の情勢は益々多事多端,極東の情勢は町の参謀達に勝手な熱を吹かさして居るが,対岸の火災として見物するには余りに緊迫し過ぎている。諸般の情勢は我が国のみを何時迄も圏外には置いてくれないであろうし,吾々も亦何時迄も戦争状態で放置されてはたまらない。今年こそは形はどんなであろうと一応講和は成立するものと考えられる。従ってこれに対処して行くだけの心がまえと準備がほしいものである。町の放送局はしきりと再統制を伝えている,己むを得ない点はあるとしても萎縮した業界を見るのはつらい話である。

◎知事改選,県議会議員改選を目前に控えあわただしい空気の中に26年度の予算編成を急いでいる。新知事,新議員による事業を考慮とか此処では新規事業は一切駄目らしい,牛馬税は頭を打ち,新規事業は圧えられ,補助事業は打ち切られては,手も足も出ないことになる。改選期にはもっと畜産人と,畜産の判る人を県議会に送り,伸びのある畜産行政が出来るようにしたいものである。

◎今月は畜産会に望む各方面の声を聞かせて頂いたが,締切り迄に集ったのが少いことは残念である。県民の声は県政に反影させなければならない。その声は一様に畜産振興を願い,堅実な畜産の発達を希望して居られるのである岡山県人は眼先きのきく人が多過ぎて困る。それが畜産界に迄入って来て養鶏界に,乳牛界に,カナリヤに,アンゴラに,ヌートリヤにと大変なことである。もっと地についた畜産であることを願って己まない。御回答を頂いた諸賢に誌上より深謝致します。

◎待望の畜連東京事務所が開設された。中央との連絡も良くなると思うし,芝浦市場の市況も日々入って来るので便利になって来ると思う。地方事務所,郡畜連,各市場等も充分利用して頂きたい。