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大阪市場 鶏卵取引の現状と見透

大阪鶏卵販売株式会社 取締役総務部長 伊木鹿十郎

 大阪に於ける鶏卵消費量は全般的に見て大体毎日1,500箱位であって戦前の約半量位にまで恢復して来ました。これは全国養鶏家並びに養鶏関係各位の絶大なる努力の結果であると存じます。
 大阪向鶏卵の主要なる出荷地は愛知,香川,岡山,岐阜,静岡,愛媛の順位であります。
 1月の鶏卵出廻り状態は前年に比し約3割程度の増加で卵価は平均1割方低位にあります。此の状況より種種推測して本年上半期の卵価見透を下記の通り予想します。

 1月 前年末の卵価は意外に好調を辿りて越年しましたが1月初旬900円台であった卵価も中旬より700円台へ急落それ以来弱含み保合でした。
 2月 当月は例年の如く売行不振出廻りは漸増傾向を辿り従って600円台から500円台へ漸落か。
 3月 関東を中心に奥羽,信越地方に養鶏が勃興発展せる情報より推測して東京,横浜等の消費地は愛知,静岡の主催地に対し余りたいした買気なく此の買気簿の影響から関西に於ける卵価は意外に安値を見るか。
 4月 鶏卵業の入卵中止期に入り種卵は食卵として出廻り従って一般食卵の出廻入荷は急激に増加し400円台示現か。月中頃或は一週間位人気的に400円台を破って一時的に恐怖相場が出るか。然し飼料との関係から卵価の調整運動が開始され底値に達した卵価は冷蔵入庫を誘引促進します。
依って需給調整運動が必然的に発生して卵価は相当大巾に急反撥するものと存じますから卵価の悲観視は禁物です。
 5月 前月の季節的下落歩調も愈々安定し此の月より大消費都市に於て夏期販売用の鶏卵冷蔵入庫が開始されますから卵価は一応400円台から500円台へ恢復の見込。
 6月 500円台大巾保合か。

 但し世界情勢に急変があった場合飼料価格に変動がありますからその方面から来る卵価の激変は予想出来ません。
 一応最近の手近な資料から見透をしていますから予め御含み願います。
 次に鶏卵の荷造改善の良否は必然的に卵価に重大な影響を及ぼします。春季増産期を控え卵価対策として販路の拡張地盤開拓の必要なる際是非とも同記事項対策を希望するものであります。

 一.鶏卵は鮮度を重要視しますから定期的集出荷を必要とします。集団的共同荷造,荷造用品の共同購入及び経費の負担軽減を計る。更に規格に依る完全荷造改善は勿論岡山県下のマークの統一(例えば丸岡印)
 二.出荷日を一定し定期的に大阪入荷を実施すること。
 三.取引は信用本位であるから銘柄に対する責任信用を重ずること。
   鶏卵の一箱正味3〆500匁詰は必ず正量実施のこと。
   籾穀木箱縄等包装用品は充分留意の上荷造技術は勿論破卵の出ない様注意する。
 四.春季増産期に冷蔵入庫に適する優良品を出荷すること。
 五.自信のある優良品の出荷に対し吾々荷受機関は其のマークに精々信用と名染をつけ売価の向上勉売に努力します。
   従って生産者側の代金手取りの多きことを念じ取引改善に専念します。
 六.取引は特約定期出荷を希望し着荷と同時に仕切書を発送し代金は即日でも送金します。

(26.2.7記)