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鶏卵出荷の栞

大阪鶏卵販売株式会社

鶏卵出荷案内

鶏卵の規格
      1.重 量
            大玉 16匁内外(1箱220箇内外)
            中玉 14匁内外(1箱250箇内外)
            小玉 12匁内外(1箱265箇内外)
      2.形 状 正常のもの
      3.卵 殻 清潔で組織堅実のもの
      4.鮮 度 産卵後5日以内のもの
      5.格外卵 無精卵(抜き玉)あひる卵は除外する
荷造の規格
      1.正規の寸法の木箱を使用すること
      2.大玉,中玉,小玉に選別して正味3貫500匁詰とすること
      3.正規の縄掛をすること

鶏卵取引方法の改善と商品価値の向上

 鶏卵取引が終戦直後の混乱期を経過し或る程度の安定を取り戻すと戦前のごとく取引の合理化と商品価値の向上が重要となって来るのであります。それにはまず第一に鶏卵の共同出荷が考えられねばなりません。従来,この方面の指導と実務を担当して来た農業会の組織は昭和23年8月に解体せられましたので,その後は畜産農協或は養鶏農協等によって漸次共同出荷が行なわれております。何れともせよ集約的な共同出荷を実施することが養鶏経営上最適の方法と思われるのであります。なお今後鶏卵の増産とともに消費市場における販売競争が必然的に激しくなることを予想して共同出荷と共に品質および荷造りの改善,その他商品価値の向上に対する努力が必要になると考えられます。
 鶏卵の品質は申すまでもなく新鮮であることが第一条件でありまして,新鮮卵を出荷するには集卵日を一定し大体5日目毎に集卵し出荷するのが適当であります。また栄養品としての鶏卵が汚れていたり泥が附いていては,その栄養価値を減殺することになるのでありますから汚染卵を出荷せぬように注意せねばなりません。卵質の点においても往々飼料の関係で卵黄が白く或は水分の多いのがありますが飼育管理上の注意が肝要と思われます。
 なお鶏卵を出荷する時には大玉(16匁内外)中玉(14匁内外)小玉(12匁内外)の撰別を厳重に励行し,同じ箱の中に大中小を混合して詰めぬようにすることも破損卵防止の上から大切なことであります。
 次ぎに荷造りについてはまず一定の容器が必要であります。容器としては縦1尺7寸3分,横8寸3分(榎板正味巾寸法)深さ1尺2寸1分の木箱が最も理想的でありまして,この木箱の寸法が小さいか或は材質が弱い場合には破損を生じ易いのであります。また鶏卵を木箱に詰め込む時に,その列べ方が乱雑であると卵殻と卵殻とが触れ合って輸送中に破卵を生じます。荷造りに使用するスリヌカもその分量が少ないと必ず破卵を生じますから充分に揺り込んで詰めねばなりません。是等荷造り用の木箱およびスリヌカは必ず乾燥したものを使うことも鶏卵の腐敗変質を防ぐ為に注意すべき条件であります。品質および荷造りが如何に完全であっても内容の量目が不正確であれば取引上種々の支障を生じるばかりでなく出荷者の信用とマークの声価を失うことになります。戦前は1箱15キロ(4貫目)に一定せられ,量目の検査が励行されたのでありますが,戦後は荷造技術が低下したので大体において1箱3貫ないし3貫500匁になっております。そして容器の表面,つまり木箱のツマ板に必ず出荷者名と内容数量を明記することが必要であります。鶏卵が栄養食品として新鮮であらねばならぬことは鶏卵自体の本質的な要求でありまして鶏卵関係者の特に留意せねばならぬ点であります。その為には生産地においては荷造りと品質改良に努力し商品価値の向上に注意するとともに,集卵より出荷の過程を最小限度に短縮し,また消費地においても販売機構の合理化に努力して最低の手数料で円滑公正に配給すべき責任があるのであります。要するに飼料不足,その他種々の困難と障害に阻まれつつ生産せられた貫重な鶏卵が消費者に配給せられるまでに腐敗,変質,或は破損するというようなことは国民経済上からも重大な損失といわねばなりません。
 この意味におきまして取引方法の改善と商品価値の向上こそ,今後の鶏卵界に課せられたる重要な問題であると考える次第であります。

◎特に御注意

 定期的に入荷しマークに馴染が出来ればよい買手がつき値段も御有利となり出荷者の手取が増えます。従って相互信頼に依る人格的特約委託取引を特にお奨め致します。
 何時迄も外装や内容が改善されないものは今後格落品として格差をつけて仕切りますから何卒御諒承願います。
 例えば仕切り相場一貫に付き20円も30円も値違がある場合があると思います是非とも早く改善して下さい。

格落品

 一.木箱の寸法足らずで破卵発生に重大な原因のあった場合
 二.「スリヌカ」に湿気があって鶏卵の内容に変化のあるもの
 三.縄掛,釘打等の不完全なもの
 四.大,中,小の撰別不良のもの
 五.汚染卵の混入あるもの
 六.種卵として卵殻にゴム印を押したり鉛筆で数字を記入してある場合それを食卵に売ると一般大衆は大変きらいますからマークの記入は食卵に出される場合是非ともやめて下さい。

荷造りの方法

一.集卵

 新鮮卵を出荷するには集卵日を一定し且つ成るべくその期間を短くした方がよいのであるが,大体5日目以内と標準として集卵し,集卵日の翌日を出荷日とするのである。食品である玉子に糞がついたり泥がついていたりしては全く商品価値を失うので鶏舎や巣箱は清潔にして集卵の回数を多くし成可く汚染卵を出さぬように注意し,若し汚染卵が出た場合は附着物を削取るようにして決して洗ってはならない。

二.送別

 (イ)腐敗卵,汚染卵,傷卵,薄殻卵,畸形卵,混血卵,無精卵(抜き玉)あひる卵,は必ず除くこと
 (ロ)大きさに依り次の標準の基き選別すること
  大玉  16匁内外(1箱容量220箇内外)…長径1寸9分−2寸1分
                        短径1寸4分−1寸5分
  中玉  14匁内外(〃   250箇内外)…長径1寸8分−1寸9分
                       短径1寸3分5厘−1寸4分
  小玉  12匁内外(〃   265箇内外)…長径1寸7分−1寸8分
                       短径1寸2分5厘−1寸3分5厘

三.容器

 (イ)箱は松材がよろしい。正3分板で継目の少ないもの。又継目から籾殻のもれないもの(リンゴ箱等は箱自体が弱体であり取扱いも不便な為,荷扱者も荷扱に自然乱雑となり破損の虞れあり,又箱板長いため外部よりの圧力に弱く破卵となることが多い)
 (ロ)褄板2枚継のときは横棧(巾1寸5分,長さ横板に達するもの)を両褄板の上下に入れ補強する。
 (ハ)一方の褄板には出荷団体マーク出荷団体名,内容箇数等の文字を表記すること。
 (ニ)木箱の規格寸法
  側板 長さ1尺7寸3分,2枚打,厚さ正3分
  褄板 縦1尺2寸1分,横8寸3分,厚さ正5分
  蓋底板 長さ1尺7寸3分,2枚打,厚さ正3分

四.詰め方

 輸送中に於ける破卵の多少は主として詰め方の適否によるものであって,たとえ1箇でも破損するとその卵液が流れ出して他の卵を湿し其の卵殻を汚損するのみならず,夏季は腐敗を招く原因となることもあってその損害は実に大きいものであるから正しい詰め方により熟練することが肝要である。

 (イ)大きさをなるべく揃えること大小混合して列べると卵向(前後左右特に上段,下段)が不整で卵が接触し配列の無理の為に破卵を生ずるからよく選別して大きさの揃った卵を詰めること
 (ロ)籾殻がもれないようにすること輸送中木箱の板の隙間又は節穴が抜けてそこから籾殻がこぼれ出しそのための破卵を生ずることがあるから詰込前木箱をよく検査すること
 (ハ)よい籾殻を使うこと
 籾殻は土砂塵埃を除きよく乾燥したものを用いなけらばならぬ。
 (ニ)籾殻を充分入れること
 卵と卵,及び卵と板の接触しないようにし,輸送中,卵の動揺しないよう籾殻を充分(1箱少くとも2斗5升乃至3斗,目方にして1貫147匁(4.3s)乃至1貫200匁(4.5s)使用しなければならぬ。最近籾殻の使用量が少いために輸送中破卵を生ずるものが随分多くなって来た傾向があるから特に注意されたい。

五.列べ方

(一)必ず立詰5段とし最上段を横並べにして6段詰とする

(二)卵の詰込方

 (イ)大玉の場合(第1段より第5段までは縦詰とし,第6段目は残数に応じ適宜の間隔を以て横詰とすること)

第1,3,5,段
第2,4段
第6段 残数
第5段 40
第4段 40
第3段 40 }200ケ
第2段 40
第1段 40

 (ロ)中玉の場合(第1段より第5段までは縦詰とし第6段目は残数に応じ適宜の間隔を以て横詰とすること

第1,3,5,段
第2,4段
第6段 残数
第5段 44
第4段 44
第3段 44 }220ケ
第2段 44
第1段 44

 (ハ)小玉の場合(第1段より第5段までは縦詰とし第6段目は残数に応じ適宜の間隔を以て横詰とすること)

第1,3,5,段
第2,4段
第6段 残数
第5段 49
第4段 50
第3段 49 }247ケ
第2段 50
第1段 49

 (ニ)並べ方は板に一番近い卵は箱板に接近(箱板につける,箱板につけて配列しても籾殻を入れたり揺ったりするので適当に内側に寄って丁度よい間隔になる)せしめ出来る限り卵向を広く配列する。

 (三)籾殻の詰込方

 (イ)立詰5段,横詰1段の場合は籾殻を底部に4升卵間各段に3升づつ最上に4升以上を入れる。
 (ロ)籾殻は1段づつよく押込んで出来るだけ平坦に入れるようにする。
 (ハ)最上部3升以上の籾殻は一度に入れず2回に分け1回毎に上蓋(一枚板の丈夫なものを別に造って置くのがよろしい)をして褄板側を押えて上下に揺り込むこと。
 (ニ)籾殻に土砂が混入していたり湿気があるものは内部が蒸せ,腐敗卵となるので絶対に使わぬこと

六.外装

(一)釘打
釘は1と1/2”又は1と1/4”のものを使用する。新らしい釘は抜け易いので塩水につけるとよい。尚上下共必ず横板の中央部に一本打つこと。
(二)縄掛
縄の太さ直径3分位(3分縄)3本掛とする。
 (イ)順序
  第一に横縄(両横に)……位置は箱の両端より何れも1寸位内側
  第二は腹縄……………位置は箱の中央
  第三は立縄……縄は褄板中央部,
  尚比の縄を以て両横縄の上部のみと腹縄両褄板の部分を止め,横縄,腹縄のずれを防ぐ
  第四に胴縄……両横縄の中間部で立縄の上部のみ止める以上で止めるところは上部3ヶ所と両棲板2ヶ所計5ヶ所となる。
 (ロ)止め方
  縄は常に3本が行儀よく並んでいるように止める。
 (ハ)結び方
  結ぶ位置は箱の上部に出ないよう又結び方は諦結びとする(男結びは結び目が相当高張るため不可)
 (ニ)標識
  棲板の外部面に「刷込マーク」を使用して内容は明確に表示すること