ホーム岡山畜産便り復刻版 岡山畜産便り昭和26年4月号 > どうぶつ愛護によせて 3月21日

どうぶつ愛護によせて
3月21日

 終戦前は毎年4月7日を愛馬の日として特に軍馬を讃えいつくしんだのであったが,終戦以来武装を放棄した今日では既にそんな必要がなくなってしまった。と言っても決して動物に対する愛情を失ってはならないであるから,何か動物を愛護する記念事業が要望され,自然を讃え,生物をいつくしむ日として春分の日を選び1昨年その第1回の「動物愛護の日」の催しを行い,そして去る3月21日第3回目の記念すべき日が廻って来たのである。
 朝鮮事変も満1ヵ年が近づき京城は4度支配者を変え,国連軍の配下となった。そして国際的には世界の東西に於いて,危機を孕む不安な状勢が暗い翳を投げかけているが,対日講和を真近にひかえた状勢にある日本は只平和への闘争なき闘争を敢然として行うのみである。
 この対日講和の締結を1日も早く促進させるということは全く平和を希望する博愛の精神に満ちた人々によって始めて為し遂げられると言えよう。そして対日講和締結により,戦争を放棄したわれわれは過去10数年に亘って世界人類に対して犯した禍痕を取り除き,世界中の人々の信用を克ち得るべく「博愛」の精神をより一層培かわなければならない好時期である。
 日本人の生物に対する愛情は歌や俳句を好む伝統的な自然への憧憬的態度によっても知ることができた。しかし生物に対するこの愛情が残念乍ら過去10数年の殺伐な環境の為に自然に何処かへ失われてしまった。そして子供達は犬や猫を見ると直々棒や石を持っていどみかかる無益な闘争心やこれを見て咎めようともしないのみか,むしろその行為を褒める ような大人達がまだわれわれの周りには一杯見受けられ,識らず識らずの内に残虐な性質を助長しているのである。われわれはこの失われた過去の美点をもう一度とり戻したいものである。
 「動物愛護の日」は失われたものを呼び起こす動機となる貴重な日である。われわれはこの意義ある日を期して講和への道平和への道を一歩一歩前進しようではありませんか。