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津山のあれこれ

津山畜産農場

 △昭和24年1月から2ヶ月有余に亘り当場に在って畜産の改良増殖に努力せられた小坂氏には今般新設の赤磐郡周匝家畜保健衛生所長とし栄転の予定をもって一応県畜産課勤務となって転出された。同氏はその明朗な性格をもってよく建設途上の当場のために力を致され,なお将来も御願いしなければならないと思っていたので今般の転出は洵に惜しいことであるが御家庭の都合がありやむを得ない次第であった。保健衛生所は畜産国策の白眉として目下鋭意充実の途上にあるもので将来同氏の活躍には多大の期待がかけられている。好漢,農場の藁葺の屋根とかぬるみの道とそして大田の焼酎の味を忘れずに折角努力せられよ。

 △岡山種畜場において久しく養鶏業務に専念されていた沖氏には今般当場に着任され,緬山羊,養鶏関係を担当されることになった。作州地方における斯業の進展は近来目覚ましきものがあるこの秋に当りこの新進技術者を迎えたことは当場の強みとするところである。折角将来の御健闘を祈る。

 △乳牛養豚係主任である浅羽氏が今般3級に昇任従来通り当場にあって場の建設に当ることになった。背が高く充実した体格の持主たる同氏の推進力は従来より一層その業績に顕われるであろう。

 △客年12月半ば大手術をして久しく療養に努めていた中島氏もなおって先般から出勤している。まだ元通りの状態とは申せず労働はできないがよく斯様になおったものと不思議に思える位である。今後は一層体に留意されて当場並びに和牛界のため御努力を願いたい。

 △人工授精師免許のための購習会が2月20日から津山市において開催せられ実習が昨日から当場で実施されている。人員40数名皆熱心に講習を受けているが第1回の成績に徴すれば余り成績が芳しくなかったので今回はそれ以上の成績を期待している。遠方で経費も多額を要し且つ講師にも御足労を掛けるのに特に北部地方のために積極的にこの地で講習会を開催された県畜産課に感謝すると共にこの講習会開催に関し格別の御協力を賜った作州五郡畜連にたいし厚く謝意を表する次第である。

 △県において実施されている養蚕の残滓物を利用しての緬羊飼育は極めてよい成績を収めているが桑葉はその成分等から見て非常によい,緬羊飼料なので今般蚕業試験場の御援助を得て緬羊運動場の一区劃に桑苗を植えることとし一両日中に実施することにしている。養蚕と畜産との結合は作州地方の農業経営上極めて有望であるから将来一層押し進めたい。最近乳牛飼育者にして桑を植え初めた人があるとかよいことであると思う。

 △葛の飼料的利用の普及については吉岡氏が率先唱導された処であって近年その増殖利用が急速に増加していることは洵に慶ばしいことである。当場にも奥の池の端に自生のものが沢山あるので毎年利用しているが今般前項の桑と関連して緬羊運動場の一区画に植えることにしている。そして他の一区画には適当の牧草を栽培して面積は何れも極めて小さいが輪換放牧のモデルの如きものをこしらえたい積りである。

 △農村における副業養鶏の経営は農家経済の向上,生活の改善等から極めて必要なことであるが初心者がいきなり初生雛を飼育してもその成功が望まれない場合が多いので,中雛の希望者が多い。当場においてはこの要望に副うため4月下旬から40日雛約1,500羽を育成して配付する予定である。詳細は別記案内の通りであるから御利用を望む。

 △この4−5日来毎日生暖かくして陰鬱な天気である。麦も急に伸びた様だ。この分だと鶴山館の桜も例年より早いであろう。昨年は満開の時期に一週間位雨が降らず大変賑わったが今年は如何であろうか。この時になると桜花の下でかなでる蓄音器の歌が相当大きく場迄聞えることがある。こうなると仕事にならない様であるが歌を歌い乍ら搾乳すると一升位沢山出るとは一搾乳師の話!! とすればこの蓄音器から流れ出る歌も功徳があるというものか(?)

 △津山駅から今津屋橋を渡り左に折れると津山の中心街だ。町は巾がせまく上にきれいに沢山電燈がついている。夜暗くなってからこの道にかかると何ともいえないなつかしさといった様なものを感ずる。岡山に久しく居たがか様な気持の起るところはなかった様だ。津山の魅力とでもいうものだろうか!! (26.2.28記)