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着任の御挨拶

岡山種蓄場長 辛島 忠

 大いなる師に近づくに似たるかな久住の山を思う心

 清らかな渓流と豊かな青草に恵まれた九州最高峰久住山麓より数々の夢と大きな期待を持って当場へ着任したが名に負う畜産岡山,本邦最高水準を行く農業岡山を見ただけでも今更に新しい血の激流を胸内に覚える。
 この感激を持って皆様と共に手を携え足並を揃え本県畜産振興の為に働かして頂ける自分の幸をつくづく感謝せざるを得ません。
 人を作り種蓄を造り窮極の目的である高度農業の確立に寄与せねばならぬ種蓄場の使命は言葉を換えれば種畜増殖機関であり畜産技術の指導機関であらねばならぬ,種畜場本来の使命はともすれば畜産の政治力の貧困化によって否曲されんとしつつある各県種畜場の現状を見せられ義憤を感んずると共に吾々畜産技術者に於いても深く自分を省みることが最も肝要な秋でなかろうか。
 ともあれ畜産先進県である本県種畜場の使命の大きさを思えば勇奮せざるを得ませんが過去15年の現場生活に於ける自分を振り返って見ると余りにも力の足らなさが痛切に胸にこたえる。各位の内からの御協力を唯一無上の支援の楯として当初当場の建設に当った先輩諸氏の苦斗を常にしっかと抱いて,内外共に岡山県に相応しい即本州第1の輝しい種畜場を打ち建てる覚悟を持っています。何卒折角の御援助御願いします。実は拝趨の上御挨拶申上げるべきですが取り敢えず本紙面を借りて御挨拶旁々御支援の程御願い致します。