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卵料理

農業改良課 木村技師

 卵は生みたての新しいもの,精々生んでから10日以内のものが栄養的にもよいのは当然ですが,当座の常備食品として即席に調理できる重宝な材料の1つです。ことに4月から6月にかけて1年中で最も産卵率が高く,値段も下がるので,農家でも出来るだけ食卓を賑わしたいものです。加工品としてはすでに2月号に御紹介したので,即席料理として数種とりあげて見ました。
 卵は主菜として,又各種調理に広く使用されるので全部をとりあげることはできませんが主なるものだけ抜いて見ましょう。

寄せ焼き(5人分)

(材料)鶏肉(又は兎肉)30匁(干えびでもよい10匁)
    葱(きざんだもの)カップ1杯
    卵 7個
    塩 小匙2杯
    醤油 大匙2杯
    砂糖 大匙3杯
    油 大匙2杯

(作り方)鶏肉は細かにたたき,葱は小口切りにする。鍋に油をとかし肉と葱をいため調味料を加えさっと火を通し,そこにほぐした卵を加え,半熟程度にし,卵焼器に油をたっぷりしき,その中に半熟卵をあけ蓋をして弱火でゆっくり焼く。これを適宜に切ってキャベツや粉吹き馬鈴薯をあしらって盛りつける。家庭料理の時には炒り卵風にしてもよい。

オムレツ(5人分)

(材料)卵 8個
    玉葱 20匁
    牛肉 50匁
    塩 小匙1杯半
    胡椒 塩の1/5
    バター 5匁

(作り方)挽肉と野菜をはじめに油炒めして,塩,胡椒で薄味をつけておく。よく油のしみた滑らかなフライパンに卵を流し入れ,下側が焼けはじめた頃1度箸で手早くかきまぜ炒めた肉と野菜を卵の半分位のところにのせて2つ折りにしてお皿にとる。
 トマトソース等をかけ,パセリ,粉吹芋をそえる。幼児食に使うオムレツは白味を泡立てて「フワフワオムレツ」に焼くと消化がよい。

(応用)オムレツは中に入れるものを代えると種々出来る。卵の中にチーズの細かくしたものを入れて焼くと,味も成分も濃厚になる。又肉は鶏,兎,魚,えび等好みに応じかえるもよく野菜も香の高いパセリ,人参葉,芹等も風味をよくする

切竹磯巻焼

(材料)卵 5個
    砂糖 小匙5杯
    塩 小匙1杯
    醤油 小匙半杯
    焼海苔 1枚半

(作り方)卵をよくとき分量の調味量をまぜ合わせておく。海苔を焼いて乾いた布巾にくるみよくもんで細かくしておく。卵焼鍋に1度火を通した油をぬり,熱くやいておき,卵汁を流し入れる。

(うす焼きが出来る程度)表面がややかわいて来た頃,もみのりをパラパラとまき端からくるくる巻いて鍋の隅によせておき油をしき,次にもう1度うす卵を流し又海苔をふって巻きこれを繰りかえす。直径が3,4pの棒に巻き挙げ,これを斜に切り,たてに盛りつける。お弁当や折詰の中に利用するとよい。

卵焼きの巻揚げ

(材料)卵 6個
    (鮭缶又はかに缶,ハム,乾燥肉)
    葱(細くきざんだもの)カップ1杯
    片栗粉 大匙2杯
    醤油 大匙2杯
    塩 小匙2杯
    揚油

(作り方)卵は即席に役立つので,それに合せて,ハム,乾燥肉,又は缶詰類を利用することが多い。卵は6個のうち5個に塩2杯を入れて薄焼きを作っておく
 ハム,乾燥肉又は缶詰と残りの卵1個,葱,醤油,塩を加えてよくまぜ合わす。
 俎板の上に,布巾をひろげ,その上に薄焼き卵をのせ,直径2p位の太さに中身を入れておいてくるくると巻く,巻止めのところには片栗粉の水どきの上澄みをすてた沈澱したものを塗りつけて煮立てた揚油の中に入れて色づく位に揚げる。食べよい長さに切り,熱いうちに辛子醤油をつけて戴く。 
 中身に入れるものに工夫をすると変ったものが出来る。兎,とりの挽肉にみじん切の葱とニンニクのおろしたものを少し入れる風味のよいものになる。

かき玉汁

  卵   3個
  出汁  4合
  片栗粉 小匙4杯
  塩   小匙2杯半
  醤油  小匙2杯

(作り方)卵はよくほぐしておく,出汁に塩、醤油で味つけ片栗粉の水どきを入れて,煮立ったところに卵のほぐしたのを箸にそって流し入れる。香りよい青味野菜や,青のりをそえる。
 この他.茶碗蒸し,玉子豆腐,錦糸玉子,ハム,エッグ又親子丼,玉子丼等も既に御承知のことと思う。

ソース

  卵黄 2個
  酢 大匙3杯
  油(サラダオイル,天ぷらの残油)大匙3杯
  塩 小匙1杯
  胡椒 1/5杯
  味の素 少々

(作り方)フレンチドレッシングとマヨネーズソースのあいの子のようなもので家庭用として重宝なものである。初夏に向った新鮮な野菜を45種(緑,赤色とまぜて)合わせてこのソースで和えるとよい。
 又お年寄りには塩,胡椒の代りに味噌を入れると,よろこばれる。