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巻頭言

長谷川畜産局長に期待す

惣津 律士

 先般全国畜産課長及び種畜場長会議が東京で開催されて関係諸施策の指示があり,主要協議事項であった経済自立計画,飼料対策,牛乳の取引改善,家畜の改良増殖,馬の改良と生産については夫々委員会で検討協議の上,結論がつけられたが,新畜産局長長谷川清氏の熱心なる態度は参会者に多大の好感を与えた。
 自立経済への移行に伴い畜産施策はそれに即応して行われるべきで,その裏付をなす所の畜産金融飼料の確保,畜産物の取引改善は極めて重要な事項でありながら,本省に於ける確たる方策が伺えなかったのは残念であったが,これ等は本省はもとより地方庁其他畜産関係者が一丸となって解決に乗り出さなければならない。
 補助費が中央及び地方を通じて大幅に削減されつつある今日,長期にして低利な畜産金融は家畜の導入はもとより各種共同施設に対して不可欠のものである。更に飼料の確保の面では自給飼料の増産はもとより必要ではあるが,自由に放任された販売飼料を飼料生産業者其他業者の心からの協力に依って実需者に安価に,豊富に供給する事は一段と緊要である。尚畜産物が硝子張りの中で,公正に畜産農民に充分有利に取引されてこそ畜産の発達が期し得られる事は周知の事項である。而しながらこれ等の解り切った事が従来の因習とか,古い感念,独善に依ってはばまれている事は事実である。
 長谷川新局長は終戦後畜産課長として当時の混迷たる畜産行政を処理せられた経験を有せられ,局長就任以来の真剣なる態度は必ずや我々の期待に添うべく献身されるものと確信している。畜産局長といえば,従来は腰かけ的のもので,長くつづいて2ヶ年位で,短命なことが常識となって居るが,畜産行政の成果は一朝一夕に期し得られるものでない関係上,どっしり腰を落ちつけてやって戴きたい事を切望して止まない。
 本県に於ては三木新知事の手で近く本格的予算の編成が行われるが,我々畜産関係者は岡山県農業の中枢をなす畜産の発展の為積極的予算の編成におし進めねばならない事を銘記すべきである。