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緬羊の離乳

小島技師

 いよいよ緬羊の離乳の季節が訪れて参りましたので本日は,仔緬羊の離乳前後の飼い方につきましてお話し致します。
 最近緬羊の飼育熱が高まって多くの方々が初めて仔緬羊を生産され離乳につきましては相当関心をお持ちのことと思いますが,まず仔緬羊の発育状態から申しますと,発育の良否は母緬羊の健康状態や乳の出る量の多少によりまして決定するものであります。
 特に生後1ヶ月の間が一番注意を払わなければならない時期でありまして,この期間中に発育が遅れますと,なかなか回復が困難でありますし,緬羊一代に於きまして,悪影響を及ぼすことがありますから気を付けて下さい。
 乳の出の悪い母緬羊には質の良い飼料を与えることがかん要であります。仔緬羊は生後3ヶ月から4ヶ月を経過しますと,飼料だけで育つようになります。ですから母緬羊や仔緬羊の栄養状態を考えまして離乳して下さい。哺乳期間が長ければ,それだけ仔緬羊の発育は良くなりますが,余り長すぎますと母緬羊の栄養が悪くなり,次の蕃殖に悪影響を及ぼしますから,あまり長く哺乳してはなりません。
 仔緬羊を離乳しますには,母緬羊から離して別居させるだけでよいわけでありますが,離乳後一時発育が停止しますから,消化しやすい栄養分に富んだ良い飼料を充分与えて,これを防いで下さい。
 仔緬羊の発育の良否は飼料の良否や運動の過不足に原因しますから,飼料におきましては種類,品質,数量に注意しまして,滋養に富んだ粗飼料を主体としてだんだん増量しますと同時に充分な運動を行いますことによって身体の伸びや四肢の骨量など充分張らせるように育成しなければなりません。
 母緬羊は哺乳を中止するために乳房炎を起し易いですから,これを防止しますために1日1回から2回搾乳してだんだん乳の出るのが少なくなり,ついには止まるようにして下さい。又乳の出を早く止めますために,離乳後しばらくの間,哺乳中よりも飼料の質や量を落して与えるとよろしい。
 以上申しましたように細心の注意を払われまして緬羊の増殖を計りますと同時に衣生活の改善,農家経済の一助として下さい。