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農家向お八つのいろいろ

農業改良課 木村技師

 麦のとり入れも済み,これからは当分新しい小麦粉を利用したパンやお菓子が皆様の食卓を賑わすことでしょう。小麦は元来粉にして用いるもので,粒のままでは美味しくもなく,消化吸収も悪いので,パンにしたり,麺類にして食用に致します。パンや麺類の調理は色々工夫されておりますが,子供のお八つには案外なおざりにされているのではないでしょうか。食糧も豊かになってくると市販にも昔と同じものが見られるようになりましたが,市販のお菓子の中には不潔なもの,興味本位のものや,特に本年は赤痢や疫痢が昨年の約3倍も発生を見ている状態なので,不潔なキャンデー等より家で作った栄養的な美味しいお菓子を子供達に与えたいものです。子供は大人と違って身体の消耗分だけではなく,成長分だけ余計に補給してやらなければならないので,このお八つは軽い一食分のつもりで,与えて戴きたいと思います。

○小麦粉を用いた場合

イ.ホットケーキ(6枚分)

(材料)小麦粉2合,ベーキングパウダー茶匙山2杯,卵1個,砂糖大匙3−4杯,バター中匙1杯,塩小匙1/4杯,牛乳1合,シロップ用砂糖50g(大匙8杯),水2勺
(作り方)小麦粉とベーキングパウダーは一緒にして2度篩っておきます。別にボールに卵,砂糖,油,塩,牛乳をボールに入れてよく混ぜ合せ,前に篩っておいた粉を一度に加えて,さっくりと手早く混ぜ合わせます。厚い天板又は,フライパンに油をひき火にかけ充分熱した所でタネを12分の1ずつ流して中火で表2分,返してから1分程焼きます。
 シロップは砂糖に水を合せて強火で2,3分煮てカラメルを作り,更にこれに湯又は水5勺を加えてカラメルがとける迄煮ます。出来上りましたら皿に2枚ずつ重ねシロップをかけます。

ロ.ドーナッツ(直径6pの型にて8個分)

(材料)小麦粉1合,重曹小匙1/3杯,卵半個,牛乳2勺,砂糖大匙1杯半,打粉として小麦粉小匙1杯,油,粉,砂糖中匙1杯
(作り方)粉と重曹を合わせて篩に,別にボールに卵半個をほぐし入れ,砂糖,牛乳,香料を加えてよく混ぜ合わせます。この中に前の粉を入れ混ぜ,紙か乾いた布巾に打粉をふり,その上に取り出し,もう1枚の紙か布巾に打粉をして被ぶせ,上から軽くおさえて5o位の厚さにのばします。タネが非常にやわらかいから,包丁で紙をはずし,ドーナツ型でぬきます。
 油を火にかけ170℃の時に入れ,1,2度返して1分半揚げます。金網か紙に取り油をきって少しさめた時,粉砂糖をふりかけます。

ハ.カステーラ(スポンヂ)(1斤型1本分)

(材料)卵3個,砂糖7勺−8勺,小麦粉1合。
(作り方)小麦粉を2,3度篩っておき別に水気や脂気のないボールに卵の白味だけ3個分を入り泡立器で充分固くなるまで泡立てます。
 これに残しておいた卵黄3個と砂糖を加えよくまぜ合せ,更に前に篩っておいた粉を1度にさっと入れて木杓子でボールをまわしながらまぜますが,この時ねらないようにざっくりとまぜ合わせます。焼型は1斤型(又は適当な箱)を使いますが,まわりに紙を敷き,この中にたねを流し入れ,中火の天火で約30分焼きます。焼き上りましたら熱いうちに型から出して紙をとります。

ニ.かりん糖

(材料)小麦粉1合5勺,砂糖100匁,ベーキングパウダー茶匙半杯,油。
(作り方)小麦粉は篩にかけておきます。小鍋に水カップ半杯(5勺)を入れて砂糖30匁を加え,火にかけてとかし火からおろして生あたたかく冷えたときに重曹を加えてとかしこの中に小麦粉を少量ずつ加えて手でねばりけのでるようにねり,小麦粉のふってある台にだして麺棒で5oぐらいの厚さにのばし,長さ5p,幅5oぐらいに切ります。つぎにフライパンに胡麻油を入れて火にかけて煮たてて,この中に1本ずつつかんで入れよい色にからりと揚げて紙にすくい上げて油気をきります。別に鍋に砂糖の残りを入れ,水をカップに半杯ほど入れ火にかけて糸を引く位に煮つめ,この中に揚げてあるたねを入れて箸で静かにまぜ,大皿にだして,ひろげて乾かしてから手で1本1本ばらばらにして,湿気をくわないような入れ物に入れておきます。

○馬鈴薯を用いた場合

イ.馬鈴薯せんべい

(材料)じゃがいも中5個,塩少量,赤とうがらし粉少量,黒胡麻茶匙2杯,油
(作り方)胡麻は炒って包丁できざんでおこます。馬鈴薯はうすく紙のように切りそして水切りをよくしておき,よく熱した油で,からっとあげます。丁度紙のようになります。粉砂糖をぱらっとふりかけて供します。

ロ.うすかわまんじゅう

(材料)馬鈴薯,鶏卵大5個,上新粉3勺−5勺,砂糖大匙3−4杯,塩,片栗粉少量
(作り方)馬鈴薯は蒸してつぶします。つぎに,その中に,つなぎとして上新粉を入れ,手ごろにまるめ,片栗粉の上をころがして衣をつけます。蒸器に入れて手早く蒸しあげます。すると,うすかわのはったきれいなまんじゅうが出来上ります。好みによって,淡色の色粉を加えればひきたちます。

ハ.じゃがいも羊羹

(材料)茹でて裏ごししたじゃがいも100匁,砂糖1合(ネオシロゲン等の甘味剤でも可)塩ごく少量,水2合−2合5勺,寒天1本,香料
(作り方)寒天は水にひたしてやわらかくして,ちぎり,しぼって鍋に入れ,水を入れて煮とかし,さらに砂糖と塩を加えて木杓子でかきまぜながら,1合5勺から2合位に煮つめ,裏ごしじゃがいもを加えてよく練り上げ,エッセンスを加えて流し箱に入れ,充分に固まってからぬき適宜に切って供します。

ニ.ミルク汁粉

(材料)蒸して裏ごししたじゃがいも100匁,片栗粉茶匙山盛3杯,砂糖1合5勺。餅適宜,塩,胡麻茶匙3杯
(作り方)胡麻はよく炒って荒くすりつぶしておきます。つぎに裏ごしじゃがいもと砂糖と牛乳を鍋に入れて火にかけてとかし煮だて,水でとかした片栗粉をかきまぜながら加えて煮たて,さらに塩をごく少量加え,こんがりと焼いた餅を椀に入れてその上から汁を注ぎ入れ,最後に胡麻をふりかけて供します。