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畜産メモ

卵の箱詰は太い方を必ず上に

 卵の黄味の表面には胚盤がある。此れは大切な生命の中心であるから常に上に向こうとする傾向がある。又カラザが卵の細い方の端と黄味とを結びつけている。そこで卵の太い方を上にして立てても黄味は太い方の端にはくっつかない。ところが若し細い方を上にして立てると黄味が上に上がって外殻にくっつくことになる。すると黄味の表面にある胚盤は殻を通してバクテリアを吸い込み早く腐敗する事になる。
 此れを証明する例がアメリカで発売された,同国でも卵の上下が問題となり,此の研究が行われたのであるが,此れに依るとアイオワ州の家きん協同組合から同じ品質の卵を2ダースずつ2組ワシントンに送られた,その1組は太い方を上にし,もう1組は逆に細い方を上にして送られたのであるが,ワシントンで連邦政府の査定官が等級を査定した結果,太い方を上にした組はAA級44%,A級56%となり,片一方の細い方を上にした組はAA級11%A級39%となったのである。ところが同じ日の夕方この成績の極めて悪い細い方の組を全部太い方を上に置き直して前と同じ査定官が再査定した結果AA級28%,A級52%,B級は僅か20%となる様な好成績を収める事が出来たので同協同組合では全米の養鶏家に「太い方を上にして」出荷する事を奨めている。此の様な事実にマサチュセッツ州では金額に直すと1ダース当り平均12セント高くなるところから「卵の太い方を上にすれば財布が太る」という言葉が流行っている位である。(畜産情報より)