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家畜人工授精指導者講習会開催

 5月28日より10日間兵庫県家畜衛生試験場中国支場に於て東海北陸近畿中国17県32名出席して家畜人工授精指導者講習会が開催され各県で夫々実施している人工授精師講習会の内容について検討した。何れ統一したある線の講習内容が農林省より示されると思いますが期間中に教わった人工授精について2,3紹介したいと思います。
 其の1つは最近米国に於ては,精液の保存にストレプトマイシンとペニシリンを混じて精液中の細菌の繁殖を防止しているそうですが,夏季は,細菌の繁殖を激増するのでペニシリンを応用すればよいと思います。使用量は,精液1tに対してペニシリン千単位です。
 次は精虫の生存率測定を生死染別法によって行えば極めて操作が簡単で確実に精虫の生死の鑑別が出来,不良精液の発見にも大いに役立つので受胎率向上を期する事が出来ると信じられます。その方法は燐酸曹達緩衝液50tをA液とし,別の燐酸曹達緩衝液50tにエオジン0.5gとアニリンブリウ2.0gを加えて加温しそれを濾過し,それにA液を加えれば染色液が出来る。この染色液をスライドグラスの上に1滴落し,それに精液を少量加えて攪拌し,スライドグラスを覆って横にすらして2枚のプレパラートを作り摂氏65度乃至80度で乾燥し鏡検すれば死んでいる精虫は青染し活きている精虫は染色していない。この方法によって生存率を出す場合には生死精虫を333数えて次の式によればよい。

生きている精虫数×3
──────────=生存率
   10

 次に精液採取用ゴム内筒の消毒は煮沸したり消毒液に入れたりすればその質を悪くするので往々無消毒の儘使用する向もあるがゴム内筒使用後はよく水洗して70%アルコールに数分間浸して取上げ風乾し次回使用の際滅菌生理的食塩水又は10%糖液でよく洗浄して精液を採取すればよい。